文化通信社セミナー2025 書籍PR/非効率家・黒田氏「出版界はまだまだやれることがある! 敏腕『書籍PR』の仕事術とは?」

2025年7月24日

 文化通信社は7月10日、書籍PRで非効率家の黒田剛氏(QUESTO代表)を招いたセミナー「出版界はまだまだやれることがある! 敏腕『書籍PR』の仕事術とは?」をオンラインで開催した。書籍PRとして注目を集める黒田氏は、4月に自身初の著書である『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(講談社)を刊行。セミナーには、本書の編集を担当した講談社の下井香織氏も同席した。

 

オンラインセミナーを行う黒田氏

 

 冒頭で黒田氏は自身の経歴やPRを手がけてきた書籍などについて語ると、事前に寄せられた主な質問を紹介。参加者が実際に困っていることを共有することで、“本が売れない時代”において、書籍PRは出版業界全体の課題であることを示した。

 

 また、かつて書店や新聞広告がメインだった人と本の出合い方が、スマートフォンの普及を機に劇的に変化したことに触れ、「あらゆるコンテンツが(スマートフォンに)集約されてライバル化し、全方位的な書籍PRが必要な時代になった」と分析。

 

 書籍PRの流れとして、自身が代表を務める「QUESTO」の事例を紹介。まずはヒアリングを通じて本を選び、企画書を作ってメディアへアプローチする。はじめは小さく、反応を見ながら少しずつ磨き上げていき、(特にテレビへの)メディア提案は段階的に行うのがポイントだと説いた。

 

 続いて「最も聞かれる書籍PRのお困りごと15個に答えます」と題し、一つ一つを詳しく解説。「誰でもできるPRは何ですか?」という質問には、多忙なメディア関係者がどのように情報収集しているのかを考慮したうえで、まずは「読めば買いたくなるようなWeb記事を1本作ること」を提案した。

 

 続々とチャットで届く質問では、「膨大な数の新刊の中からPRする本を選ぶポイント」について、「PRを担当しているとたくさん依頼されがちだが、自分が紹介したい一冊を持つことが大事。一冊を深くやっていくと結果的にそのほかの本へも(PR活動が)利用できるが、広く浅くやると結局、何も起きない」とアドバイスを送った。

 

 後半では、書籍PRでのトラブルを防ぐための方法、『PIVOT』や『ReHacQ』といったテレビ以外の注目メディア、動画制作にかかるコストバランスと自分たちの役割などについて話した後、「思いつくことは全部やってみて、うまく行ったものを磨き上げていく」ことがおすすめだと語った。

 

 制限時間ギリギリまで質問が相次ぐ中、最後に黒田氏は、「(書籍PRを通じて)みんなが変われば、出版業界も一気に明るくなると思っている。みんなで頑張りましょう」と締めくった。

 

〈今後のセミナー〉

7月31日(木)15:00〜16:30 丸善ジュンク堂書店 取締役 丸善丸の内本店店長・文具営業部部長・店舗業態開発部部長 篠田晃典氏による「書店が仕掛けるIPビジネスの目指す先―丸善ジュンク堂書店『EHONS』の成果と可能性」をオンラインで開催する。

申し込みはPeatix:https://peatix.com/event/4474243