株式会社成文堂 Webサイトをリニューアル 専門書の情報発信を強化

2025年6月25日

 主に法律関係の大学教科書や論文集などの学術書を刊行する出版部と、大学構内や路面で書店を運営する書店部を持つ株式会社成文堂は、昨年、ホームページをリニューアル。教科書採用サイトを新設したことで、大学教員からの問い合わせが増えているという。

 

 同社の創業は1947年。初代の阿部義任氏が早稲田の地で古書を販売する書店としてスタート。その後、新刊書の扱いや出版活動を始めた。出版部は改訂を含めて年間100点ほどの法律論文集や大学教科書を刊行している。

 

 書店は現在、早稲田大学に面した早稲田正門店(新宿区)、国士舘大学本校内の国士舘店(世田谷区)、同大学町田校舎内の鶴川店(町田市)、同大学多摩校舎内の多摩店(多摩市)、愛知学院大学内の日進店(日進市)、同大学名城公園キャンパス内の名城店(名古屋市)の大学内店舗を運営。

 

 さらに、路面店として巣鴨駅前店(豊島区)、南浦和店(さいたま市)、国会議事堂店(千代田区)、フランチャイズのナカワデ店(豊島区)を展開している。

 

 2024年4月には早稲田正門店を建て替えて本社機能を移転。社屋の1階で書店を営業する体制になった。また、以前の本社では在庫の保管や取次への出荷といった物流業務を行っていたが、本社移転に合わせて物流業務は大村紙業に委託した。

 

昨年4月に新築した本社社屋。1階が早稲田正門店

 

 書店部門は、法律専門取次の大学図書と日本出版販売(日販)から仕入れている。法律書専門でインターネット通販も行っている本社1階の早稲田正門店は、一般雑誌を除くとほぼ大学図書からの仕入れになる。

 

出版部・書店部のサイトを一体化

 

 ホームページは、2009年の前回リニューアルから15年ほどが経過したことで、デザインは古くなり、セキュリティー上の問題も発生するようになったことから全面的に見直した。サイト構築はこれまでと同じ光和コンピューターに依頼した。

 

 出版部門の成文堂公式サイトと、インターネット通販を行う成文堂早稲田正門店インターネット書店の2つに分かれていたサイトは、リニューアルによって一本化し、成文堂公式サイトの下にインターネット書店を置く構成にした。これにより、両サイトの一体性が明確になった。また、スマートフォン画面への最適化なども行った。

 

 成文堂公式サイトは自社刊行物の書誌情報を中心に掲載。デザインの一新で見やすくなるとともに、書誌情報に追補などを記入することができるようにした。

 

 これに合わせて教科書採用サイトを新設。大学教員がこのサイトで教科書を探し、採用の連絡や見本送付の依頼などができる。これまではカタログや葉書を年に1回送付していたが、サイトで探す教員が増えていることからデジタル化した。いまは図書目録・葉書送付と両方行っているが、「ゆくゆくは図書目録、葉書の送付は縮少していこうと考えています」と営業部・清水太一課長。教科書採用サイトを開設してから見本の申し込みなどは増えているという。

 

清水課長

 

オンライン注文は月30~40件

 

 インターネット書店では、早稲田正門店の店頭在庫を購入できる。大学図書が納品する見本から書誌データと在庫情報を登録。注文があると店舗でピッキングして、ヤマト運輸の宅急便コレクト(代引き)で発送する。

 

早稲田正門店の店内は壁面がすべて法律書

 

 店舗は社員2人とアルバイト1人で運営しており、オンライン注文は月に30~40件あるという。「大学教員のお客様が多く、北海道から沖縄まで全国からご注文いただきます」と清水課長。

 

 自社出版物については成文堂公式サイトから注文を受けており、サイト上では同じカートで一元管理されている。ただ、発送は本社の販売部で行っている。今は在庫管理を倉庫業者に委託しているため、注文があると倉庫から取り寄せ、翌日か翌々日に発送する流れだ。

 

少部数・高額でも必要とされる本を売り切る

 

 同社のメイン事業である大学教科書の需要について清水課長は、「コロナ禍以降、教員のレジュメの精度が高くなり、それに伴い教科書採用の頻度は下がっています。大学教科書を出している多くの出版社が同じだと思いますが、売上は下がっています」という。

 

 授業が半期制になり、重厚な教科書は採用されにくくなっているが、同社は大学教科書で1000~1500部、論文集なら400~500部と高額でも少部数の専門書を刊行する。そんな中で定番になっている『刑法総論』は2022年に刊行した第5版が、676ページ、4500円という大部ながら4000部を発行するなど支持を受けている。

 

 「やはりしっかりした本を必要とする先生はいらっしゃいます。当社では少部数でしっかり売り切ることを目指しています」(清水課長)。それを実現するために、広く情報を発信するサイトの充実が欠かせないといえる。

 


 

株式会社 成文堂

創 業:1947年

資本金:1000万円

代表者:阿部成一

所在地:〒169-0051

    東京都新宿区

    西早稲田1-9-38

電 話:03-3203-9201