【SHINBUNYA~新聞屋の新分野~】 熊本日日新聞社「マンガ×AR」で新事業&観光振興

2023年6月7日

 

SHINBUNYA 熊本日日新聞社①のサムネイル

「くまにち すぱいす」全面で観光PR

 

 熊本日日新聞社(河村邦比児社長)は、熊本有数の観光地で知られる天草地域を、マンガとARなどのデジタル技術を活用してPRする実証事業(3月12日で終了)に取り組み、地域貢献も兼ねた地方紙の新ビジネスに業界からの注目も高まっている。  

 

くまモンも登場!!

 

 同社は新しい収益源を見出すべく、数年前から省庁はじめ、熊本県、各市町村など自治体が公募する事業に積極的に参加している。これまでもハラスメントのない働きやすい職場「ブライト企業」(熊本県独自の呼称)の推奨・広報業務や婚活支援事業を受託し、成果をあげている。


 本事業も熊本県観光連盟による「くまもとマンガ・アニメ×DXによる観光活性化モデル事業」の業務委託。熊本日日新聞社業務推進局地域創成部・荒竹貴之次長は「当社の経験と強みを生かし、コロナ禍でダメージを受けた熊本の観光事業に寄与したいとの思いから手を挙げた」と参加表明の理由を話す。


 複数によるプロポーザルの結果、過去の実績や地元企業と連携したこと、天草を実証地に選定したことなどが評価され、熊本日日が委託事業者に選ばれた。


 具体的な進め方は、コアミックス(東京)が熊本に設立した熊本コアミックスと連携し、同社から誕生した女性劇団「096k熊本歌劇団」をアニメキャラクター化して起用。全国区の知名度・人気を誇る「くまモン」ともコラボし、天草の魅力をアピールした。AR技術などデジタルコンテンツの制作・運用は、NTTビジネスソリューションズ熊本ビジネス営業部が担った。

 

SHINBUNYA 熊本日日新聞社②のサムネイル

本紙でも大きく展開

 

DX化の環境整備が必須

 

 観光マンガの作品は、熊日本紙をはじめ、同社発行のフリーペーパー「くまにち すぱいす」に掲載。同面記載のコードから観光スポットやグルメ、イベント情報が閲覧でき、実際に訪れた天草の飲食店などでもARを使ってキャラクターと動画や写真が撮影できる。


 実証期間を終え、荒竹次長は「アプリの取り込みや起動に少し時間がかかってしまい、ダウンロード数が想定より下回った。天草地域はDX化が遅れているエリアなので、収益化を図るには環境整備が必要」と分析。


 しかし、一方で「イベント会場で実演しながら説明すると、皆さん興味深い反応を見せていて可能性は感じた。飲食店など事業者にもっとデジタルの必要性を理解いただければマネタイズの道も開けると考えている」と手応えもつかんでいる。


 今後について「県による検証結果を待ち、今夏以降にも本格的な展開を検討したい。アフターコロナになったので、県外はもちろん、海外からの集客にもつながるような事業にしていきたい」と意気込みを語っていた。

【堀雅視】