【文化通信セミナー2022】小説紹介クリエイター・けんご氏が講演「良質な本を紹介する場をつくる」

2023年3月22日

セミナーに登壇したけんご氏

 

SNSでZ世代の心をつかむ

小説ファンとトレンド作り出す

 

 文化通信社は2月16日連続セミナー「出版プロモーションのすべて」の第4回「良質な本を紹介する場をつくる」を開催。SNSを駆使し、Z世代から絶大な支持を得ている小説紹介クリエイターけんご氏が登壇。インフルエンサーとしてSNSを効果的に使う手法や今後は所属している会社を辞めてフリーランスとなり、納得のいく本に限定してPR活動をするなどの今後の方針を語った。

 

 コロナ禍の2020年11月、けんご氏はTikTok、Instagram、Twitterを使って、小説を紹介する配信をスタートした。小説を読まないZ世代から多くの反響を獲得。けんご氏の紹介がきっかけとなって重版に結びついた作品もあると話した。

 

 成功の秘訣は、各SNSのメディア特性を活かしながら、冒頭のつかみを重視し、シンプル&キャッチーに徹していることだと述べた。早川書房の「アルジャーノンに花束を」のTikTok再生回数は300万回以上、文庫売上ランキングは30位以内に入るという実例をあげ、この小説を読んで欲しいという熱い思いが伝わり、続きを読んでみたいと思わせたら、購買につながると語った。

 

 けんご氏は、Z世代のトレンドは口コミから生まれ、基軸となるのは、SNSと学校というコミュニティの掛け合わせだと指摘した。Z世代は、SNSのリコメンド機能の普及や検索能力の低下などにより、情報に対して受け身になっている傾向がある。彼らが求めているのは信頼し親近感を感じる人からの情報で、それが口コミに乗ると一気に拡散すると分析した。

 

 

ネットの感動がリアル書店へ

今後はPR活動にも注力

 

 本を読みたい人が来る書店と、本に興味のない不特定多数に向けて発信するSNSでは大きな違いがあり、芥川賞や本屋大賞受賞などの情報は不要と話す。重要なのは1つの選択肢と感動を提供すること。そこからリアル書店への動線を作りたいと語った。今後は会社員からフリーランサーとなり、新しい立場で動き出す。出版社から依頼があれば、自分が面白いと思う本だけに限定してPR活動も始めたいと抱負を語った。