大手取次 2022年間ベストセラー 「お金」「老後」「生き方」ランクイン

2022年12月2日

 日本出版販売(日販)とトーハンは12月1日、2022年の年間ベストセラーを発表した。総合1位は日販、トーハン共に和田秀樹著『80歳の壁』(幻冬舎)がランクイン。累計発行部数は53万5000部に達している(12月1日現在)。永松茂久著『人は話し方が9割』(すばる舎)は、日販が2位、トーハンは続編の『人は聞き方が9割』(すばる舎)と2冊合わせた部数で4位と分かれたものの、昨年に引き続き、今年も根強い人気をうかがわせる結果となった。

 

gmA_日本出版販売調べのサムネイルgmA_トーハン調べのサムネイル

 

 集計期間はいずれも21年11月22日~22年11月21日。物価高騰に比して上昇しない賃金が問題となっている日本の世相を反映し、厚切りジェイソン著『ジェイソン流お金の増やし方』(ぴあ)や両@リベ大学長著『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)といった「お金」をテーマにした本がランクインした。また、1位の『80歳の壁』だけでなく、和田秀樹著の『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』(詩想社)も日販が8位、トーハンが7位にランクイン。「老後」や「生き方」など、身近なテーマに関心が寄せられた。

 

 たつき諒著『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)は、1999年に刊行され絶版となっていたものの、東日本大震災などさまざまな出来事を予言していた漫画としてテレビなどのメディアで話題となった書籍の新装完全版。21年10月に販売され、日販が10位、トーハンが15位にランクイン。こちらも未来に不安を感じる人々の心の表れととらえられそうだ。

 

 一方で、10~20代に支持されている著者Fの『20 代で得た知見』(KADOKAWA)が、日販で4位、トーハンで9位に入り、「#20 代で得た知見」とハッシュタグを付け、好きな文章をSNSでシェアするという新しい読書の楽しみ方も多く散見された。

 

 日販は総合20位のほか、単行本フィクション/ノンフィクション他、単行本実用、単行本ビジネス、文庫、児童書、写真集、コミックなど11ジャンルで、トーハンは文庫総合、単行本文芸書、単行本ノンフィクション・教養書他、単行本ビジネス書、単行本児童書、新書ノベルス、新書ノンフィクションなど10ジャンルで集計している。