【共同受発注サイト特集2022】受注サイト 書店にとって必須の発注手段に

2022年6月21日

 書店が書籍を発注する手段として、Web注文が拡大している。なかでも多くの出版社の商品を一か所で注文できる共同受注サイトは、書店によっては必須の発注手段になっており、出版社の訪問営業が制約を受けたコロナ禍で、その利用は大幅に伸びているという。本特集では、このうち株式会社とうこう・あいが運営する「BookCellar」と、株式会社インテージテクノスフィアが運営する「Bookインタラクティブ」を紹介する。

 

 

 

煩雑な注文をネットに集約

 

 書店の発注業務は、取引取次の発注サイトや客注短冊のほか、出版社営業担当者による訪問営業、出版社への電話やFAXなど複数の手段で行われてきた。

 

 取次が進める流通改革のなかで、発注をすべて取次経由に集約する動きがある一方で、書店が在庫や納期を確認して発注するため、出版社に直接注文するニーズも存在する。

 

 ただ、電話やFAXによる発注は、注文を1件ずつアナログで行う手間や、履歴がわからなくなるといった課題があり、出版社も一度受注した情報を入力しなおす手間がかかり、ミスが誘発されるリスクもある。

 

 また、近年は書店と直接取引を行う出版社も増えてきた。こうした出版社の書籍はそもそも取次の商品マスタに登録されていないなど、取次経由での注文が難しく、書店はホームページなどでその出版社を探して電話やメールで注文するしかなかった。

 

 Web受注であれば、書店は目的の商品を書誌情報から検索して、通常のECのようにカートに入れることで注文できる。サイトによっては在庫の有無を確認したり、納期などをフィードバックする機能も提供する。共同受注サイトの中には、直接取引の出版社が参加しているところもあり、こうした出版社への発注も容易にできるといった利便性がある。

 

コロナ禍で書店の登録増加

 

 現在、主な共同受注サイトとしては、今回取り上げる「BookCellar」と「Bookインタラクティブ」のほかに、小学館グループが運営する「s―book」、出版社のミシマ社の関連会社である株式会社一冊が運営する「一冊!取引所」がある。さらに、個別出版社が運営する講談社の「Webまるこ」、KADOKAWAグループの「WebHotLine」、河出書房新社の「WINB」、JTBパブリッシングの「るるぶ書店の味方」、デアゴスティーニ・ジャパンの「DeA Books Net」などがある。

 

 こうしたサイトに登録している書店数は、それぞれ累積で4000~8000軒にのぼり、多くの書店が、何らかの形でこうしたサイトに登録してきたといえる。

 

 2000年からサービスを続けてきた「s―book」は、一時、登録書店が1万件に達したが、その後、書店の閉店などが増えたことで現在は8000軒ほどになっているというように、各サイトとも全国の書店数減少にともなって登録書店が減ってきたところが多い。

 

 しかし、コロナ禍によって、出版社の訪問営業が難しくなるなどしたことで、書店の登録が増えているという。また、書店によっては電話やFAXによる注文を減らす動きもあり、Web受注サイトの役割はさらに大きくなるだろう。

 

【共同受発注サイト特集2022】とうこう・あい/開発協力:トランスビュー 書店向けオンライン発注システム「BookCellar」

 

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