【POD特集】活況な動き見せるPOD、製販・商流構築進み市場拡大へ

2022年3月23日

インプレスR&DのPODサービスで個人出版された書籍

 

 プリントオンデマンド(POD)市場に活況な動きが見え始めている。これまでPODはオフセット印刷と比べて製作コストや製本形態、仕上がりなどに技術的制限があることから導入事例の歩みは遅かった。

 

 その状況を変えた一つが電子書籍による個人出版だ。既存の出版社を通さずに個人出版が比較的容易にできるようになり、電子書籍とあわせて紙版をPODで対応する事例が注目されている。

 

 その動きと並行して、従前のPODのメリットである在庫レスや少部数重版も、出版流通のなかに意識的に取り込むことで出版社のみならず取次会社、印刷会社、書店が商機につなげようとしている。

 

 4月1日、個人向けPODで国内最大級の会員を擁するインプレスR&Dと電子取次大手メディアドゥがPOD新会社PUBFUN(パブファン)を設立する。個人・法人各々の顧客に強みをもつ出版社と電子取次大手の取り組みとして市場拡大に期待が高まる。

 

 倉庫業を営む大村紙業は倉庫業務で取引する出版社にむけた付帯サービスとしてPOD推進をはかる。書店からもPODを活用したいとの希望は強い。

 

 ジュンク堂書店那覇店は、地元出版が盛んな沖縄で当地の市場規模に合わせた「地産地消POD」で地元読者の要望に応える試みをしている。

 

 出版取次会社も印刷会社と共同で、取り組みを加速させている。日本出版販売は大日本印刷(DNP)と、PHP研究所の文庫新書を対象にPODでの出荷を開始。注文があってから製造するオンデマンド方式ではなく、市場在庫が少ない商品で事前に必要数を予測して製造と供給を行い出荷率向上を目指す取り組みで、受注出荷率が90%まで向上した。

 

 トーハンでも製造物流改革の一環として桶川センター内へのDNP書籍流通センターを移設で「短納期・小ロット生産で『新刊・売れ筋商品の欠品』と『品切れ重版未定』の根絶」を目指すとしている。

 

 PODの現状について特集した。

 


【POD特集】記事一覧

「POD発の出版改革目指す」
セルン

 

「対談 紙とデジタル、ブロックチェーンをつなぐプラットフォームとして期待」
株式会社グーフ・岡本幸憲代表取締役、セルン株式会社・豊川竜也CEO、株式会社コンテンツジャパン・堀鉄彦代表取締役

 

「「創文社オンデマンド叢書」をオープン」
講談社

 

「福浦社長「POD市場を拡げたい」、マーケットは「個人と出版社のあいだ」
インプレスR&D × メディアドゥ新会社「PUBFUN」 

 

「取引版元向けにBOD(ブックオンデマンド)提供、高いリピート率とクオリティで安心のサポート」
大村紙業