日本文学振興会、大宅賞・清張賞贈呈式を開催

2019年7月4日

 文学振興会主催の第50回大宅壮一ノンフィクション賞・第26回松本清張賞の合同贈呈式が6月28日、東京・千代田区の東京會舘で行われた。

 

 大宅賞は河合香織氏『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』(文藝春秋)、安田峰俊氏『八九六四「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)の2作、清張賞は坂上泉氏『へぼ侍』が受賞した。

 

 同会の中部嘉人理事長(文藝春秋社長)は「大宅賞は過去に名称を変えるなど紆余曲折あったが今回から元に戻した。結果的に良かったと思う。受賞の2作は出版ジャーナリズムとして優れていると感じている。清張賞は677編の応募の中から選ばれた作品。リーダビリティーがある」とあいさつした。

 

 正賞・副賞の贈呈のあと、大宅賞については選考委員の森健氏が登壇。「河合さんの作品は誠実な思いが最後まであり、答えがないことを人に寄り添いつつ書いたもの。『八九六四』は天安門事件が何かをしつこく聞いていった作。著者の姿勢が強く出ていた。書籍として残る2冊だ」と讃えた。

 

 河合氏は「ダウン症の子どもの出産を取り上げた。今後も前を向き生きる人の思いを掬う本を書いていきたい」と決意を語った。安田氏は「大きな事件は紋切り型の描き方になりやすいが、美談に集約しない話を聞きたかった」とあいさつ。

 

 清張賞については選考委員の角田光代氏が登壇。「時代の移り変わりと人間の変わらない愚かしさが描かれている」と作品を評価。坂上氏は「時代の『負け犬』はどんな葛藤があって後の世を生きたのか、その姿を書きたかった」と執筆意図を語った。

 

清張賞を受賞した坂上泉氏

大宅賞を受賞した、右から河合香織氏、安田峰俊氏