福井新聞、京都新聞で代行印刷。記録的な大雪の影響で

2018年2月13日
 福井新聞社は2月6日、福井県内の記録的大雪に伴い、緊急時の新聞発行援助の申し合わせに基づき、同7日付朝刊の3万数千部の印刷を、京都新聞社に要請した。それを受け、京都新聞印刷で福井県「嶺南」地域向けの紙面を代行印刷し、福井県内に輸送した。福井新聞社が他社に発行支援を求めたのは、今回が初めて。

 福井新聞社と京都新聞社は2005年に、緊急事態発生時における新聞発行援助に関する協定を締結。11年12月、その協定に上乗せする形で豪雪時の代行印刷、新聞輸送の協力も決めていた。

 前日からの大雪に見舞われた2月7日付の朝刊は、通常の紙面を大幅に縮小する特別紙面構成とした。福井市など県内北部の「嶺北」地域向けは、自社で20?の新聞を印刷。敦賀市など県内南部の「嶺南」地域向け16?の新聞が、京都新聞印刷の京都新聞久御山工場で代行印刷された。

 8日付も通常より縮小する紙面編成にしたが、全て自社印刷で24?を発行した。また、新聞紙面をそのままパソコンやスマートフォンで見られる有料デジタル版「福井新聞D刊」も、7日付から無料開放している(9日現在)。

 福井新聞社の経営企画局・森瀬明次長によると、「過去の災害なども参考に、当社側の片務的な形だが、豪雪時の新聞発行援助の協定も付け加えていたのが活かされた。8日付以降は何としても自社で発行し、県民に新聞を届けると考えていた」という。

 今回の大雪では、「除雪が進んでいない道路も多く、県内にはまだアクセスできない地域もある」として、一部で配達が遅れたり、届けられない事態が起きていると話す。「大雪の中、販売店まで新聞を届け、その新聞を各戸に届ける大変な作業になっているが、本社と販売店で最大限の努力を続けている」としている。

 また、代行印刷した京都新聞印刷の高野義美印刷局次長は「これまでも協定の発動を想定して冬場の準備などをしていたが、実際の発動は初めてのことで、多少の緊張感はあった。ただ、その準備のおかげもあり、新聞印刷から新聞輸送まで、とても順調に行うことができた」と話す。

 新聞輸送は京都新聞久御山工場から3コースに分けて、嶺南地域まで配送。大雪の影響もそれほどなく、時間通りに運べたとしている。