20年以上寝かせていた積読本を、ようやく読み始めることにした。学生時代、古代ギリシア語の講義を履修していた頃に買ったホメロスの叙事詩『オデュッセイア』(松平千秋訳・岩波文庫)である◆クリストファー・ノーラン監督の映画「オデュッセイア」が9月11日から公開される。鑑賞前に読み終えようと、本棚の奥から引っ張りだした。埃をかぶり、日焼けしていた書籍が、ようやく日の目を見る。オデュッセウスは10年かけてトロイから故郷イタケーに帰還するが、私がこの本を開くまでには、その倍以上の時間を要した◆スイスを旅した際には、バーゼル市立美術館でアルノルト・ベックリン作の絵画「オデュッセウスとカリュプソ」を物語も知らないままに鑑賞した。読書と映画鑑賞のあと、西洋絵画の見方に深みが出ればいいなと思う。ちなみに古代ギリシア語は私には難しく、単位は落としてしまった。【井上真智子】
