【出版時評】2026年4月21日付

2026年4月21日

紀伊國屋書店の海外での成功

 

 先日開催したセミナー「海外紀伊國屋書店の店頭から見える日本出版物の可能性」には、定員を超える参加者が来場した。多くは規模もジャンルも異なる出版社関係者であり、海外市場への関心の高さを伺わせた。


 講師は同書店で長年にわたり海外事業を担当する森啓次郎副社長。北米、アジア、中東に展開する48店舗の紹介から、各店舗の売上動向、売れ筋の情報など、現地でなければわからない情報が満載で、終了後の懇親会では具体的な相談をする姿も見られた。


 同書店の海外売上はコロナ禍を挟んで急激に上昇。25年は19年に比べて2倍を大きく超えている。特にアメリカでの伸びが顕著だ。日本アニメのネット配信が増えたことで、客層が広がったためだという。


 売れているのは、マンガにとどまらず、文芸作品やキャラクターもの、ライフスタイル・ファッション雑誌など多岐にわたる。特に最近は文具の伸びが大きく、海外旗艦店であるニューヨーク本店では売上の過半になったという。


 同書店がなぜ海外で成功しているのか。それは、品揃えや店舗づくりが各店長に任されているからのようだ。欧米の大手チェーンは画一的なオペレーションで拡大したが、アマゾンの登場以降そうした店舗は苦境に陥った。もともと店舗が権限を持っていた日本型オペレーションが時代に合ったと言える。【星野渉】