【出版時評】2026年3月10日付

2026年3月10日

10分の1になったコミック誌市場

 

 2月終わりに出版科学研究所が発表した2025年1~12月のコミック市場は、紙と電子を合わせた推定販売額が前年に比べ1・7%減少し、6925億円だった。紙版の減少が大きく、電子版の伸びが鈍化した結果だった。


 コミック販売額がピークだった1995年は、コミック誌とコミックス(単行本)を合わせて5864億円。コミック誌が3357億円、コミックスが2507億円だった。トップの週刊コミック誌が600万部以上発行されていた雑誌全盛時代である。


 そして30年がたち、コミック誌は392億円、コミックスは1260億円、そして電子コミックは5273億円。コミック誌は1割、コミックスは5割に縮小し、当時なかった電子コミックはかつてのコミック誌・コミックスの合計に迫ろうとしている。


 コミック誌の需要が電子コミックに置き換わり、コミックスは減りつつもまだ一定の市場を保っている。かつて電車の中でみられたコミック誌を読む姿が、いまは見られなくなった光景とも符合する。


 デジタル化によってコミックは読者層が拡大し、海外など新たな市場にも届きやすくなるといったメリットがある一方で、紙版の減少は流通や小売りにとっては由々しき事態だ。ただこの流れは「不可逆的」であろう。となれば、コミックスをより所有欲を刺激する商品にしなければならないのだろう。【星野渉】