正月の帰省時、戦後80年の話題をきっかけに、父から戦争体験を聞くことができた。当時は12歳。日本の戦闘機が次々に撃ち落とされるのを目の当たりにし、サツマイモのつるばかり食べていたという◆昨年は戦後の一つの区切りの年だった。マスコミはそれを話題にいくつもの特集を組んだ。書店や図書館でも、戦争をテーマに昭和を振り返るなどのフェアを展開し、戦争の実相が多くの人に伝わるきっかけになっただろう。沖縄戦開戦の夜に陸軍野戦病院へと出発したひめゆり学徒隊が、戦場で何を見て何を体験したか、生死の境目で書き続けた日記をもとにした宮城喜久子著『ひめゆりの少女・十六歳の戦場』は、昨年強く私の印象に残った作品の一つ◆節目節目に先の戦争を振り返ることは大切だが、戦争体験者が減る中で、81年目、82年目、83年目はもっと大切になってくるのではと感じる。区切りは終わりではない。【櫻井俊宏】
