【出版時評】2025年11月4日付

2025年11月4日

出版大国らしいイベントを期待

 

 週明けの4日には書店大商談会が、翌5日にはTOKYO RIGHTS MEETING(TRM)が開かれる。いずれも東京ドームシティプリズムホールが会場になる。両方がBOOK MEETS NEXTと連携したことで同時期での開催になった。


 いっそ、いっしょにすればよいではないか、と思うのは早計だろうか。大商談会は国内書店向け、TRMは海外の出版社やエージェント向け。出展者側も営業担当者と版権担当者の違いがある。


 10月中旬にドイツで開かれた世界最大の図書展「フランクフルトブックフェア」は、世界から出版関係者が集まる版権取引の場として知られるが、同時に出版社が国内書店に来春シーズンの新刊などをアピールする場でもある。


 コロナ禍で開催されなくなってしまったアメリカの「BOOKEXPO」は、もともと書店組合(ABA)の総会に出版社がブースを出したのが始まりだったが、ここにも海外の出版関係者が多く集まった。さらに、会期後半は「BOOKCON」として一般読者に開放された。


 各国で開かれる国際ブックフェアは、出自が違っても、国内外から人が集まる場になっている。一堂に集めたほうが賑わいも出るし、出展のコストや手間も一度で済む。日本では東京国際ブックフェアが開かれなくなって10年近くたつ。出版大国らしいイベントを期待したい。【星野渉】