読書アドバイザーを生かす道を
出版文化産業振興財団の読書アドバイザー養成講座開講式に参加した。受講生は117人と定員の100人を超えた。受講希望者は募集の倍に達しているという。開始から30年以上経ても希望者が多いということだ。
受講者の内訳で最も多いのは図書館関係者。続いて出版関係者。地域を見ると北は北海道、南は大分県まで。開講式の会場にもキャリーバッグをもつ人の姿が多く見られた。世代は40~50代が中心だが、20代、30代という若い人も一定数いる。
あいさつに立った近藤敏貴理事長は、書店活性化プランで読書推進人材の活用が示されるなどの動きが、希望者をさらに増やしているのではないかと話した。確かに、近年の政府を巻き込んだ動きは、世間の読書や書店への興味を掻き立てているのだろう。
そうした盛り上がりを受け止める一つの取り組みが読書アドバイザーだともいえる。潜在的に広がっているムーブメントを顕在化させる、こうした活動がさらに増えていくとよいだろう。
開始当初からの累計受講者数は3000人を超えている。アドバイザーたちは、各地域で読書推進活動などに携わっているのかもしれないが、業界としてこの人々の思いを受け止め、生かす活動が欲しい。業界と政府と、こうした人々が揃うことで、読書推進の厚みが増すはずだ。 【星野渉】
