読売新聞社がAI企業訴訟
読売新聞社がアメリカのAI企業を、無断で記事を使用されたとして東京地方裁判所に訴えた。アメリカではこうした訴訟が多いが、国内の大手メディア企業による訴訟は初めてだという。
すでにAIは日常に浸透している。AIを意識しなくても、スマートフォンで検索すればAIが働いているのは当然として、いまやエアコンのスイッチを入れただけでAIが助けてくれる。
こうした便利機能はありがたいが、新聞社がネットに上げた記事などを、AIが素材として勝手に学習することに対する反発は大きい。無断で著作物を利用すれば著作権侵害に当たるのはもちろん、盗用や誤情報の拡散にもつながりかねない。AIが作った無料記事があふれれば、メディア企業の経営を脅かしかねないと。
アメリカでは新聞社などによる訴訟が20件以上起こされているという(本紙連載の堀鉄彦「デジタルトレンド」73・75より)。すでに判決も出ており、フェアユースが認められたり、海賊版の学習は違法とされるなど判断が示されている。
日本とアメリカでは、フェアユースの有無など著作権保護の方法が違うので、日本では自国の司法判断を引き出す必要がある。文字通り日進月歩で発達するAIとの共存を図るためにも、新聞社や出版社が取り組む必要がある課題だ。 【星野渉】
