書店ならではのキャラクタービジネス
丸善ジュンク堂書店は、絵本キャラクターなどを自ら商品化する「EHONS」を拡大している。2021年に丸善丸の内本店で1号店をオープンして以来、これまでに台湾を含む9店舗を出店。売れ行きは好調で、インショップにした店舗は本の売上にも結び付いているという。
当社オンラインセミナーに登壇した篠田晃典取締役によると、売上は年に1・5倍のペースで伸びており、インバウンドも10%に達するという。書店児童書担当の目利きで企画したオリジナル商品は、他にないアイテムとして、遠方からの来店客も多い。
この企画の発端は、東京オリンピックの時に丸の内本店で展開したオフィシャルショップ。書店空間の可能性を感じたという。その後、コロナ禍で、都心ターミナル立地の同店は大きな打撃を受けた。どうやって来店客を呼び戻すか苦心する中で、書店ならではのショップインショップ「EHONS」が生まれた。
元児童書担当を「口説き落として」企画の担当に据え、4人体制で取り組む。「出版社が作ったものを売る」から「自分で作って売る」という発想の転換で、メンバーの働き方も大きく変わったという。
篠田取締役は、出版物の右肩下がりの市況が続くと、書店は「頑張って」も続けられなくなるという危機感を持つ。しかし、書店にしかできない取り組みで、存続に向けた意思を強めている。 【星野渉】