【つぶや記】2025年7月22日付

2025年7月22日

 7月某日新宿にて、こまつ座「父と暮せば」を観劇。この井上ひさしの作品を観るのは2回目であるが、以前と演者が異なることもあり、今回も新鮮に心に響いた◆舞台は終戦から3年後の広島、登場人物は父と娘。被爆者である娘は生き残った苦しみを抱え暮らしており、父は娘にしあわせになってほしいと説得を続ける。二人芝居でありながら、会話の中に出てくる人物も、まるで登場しているかのようにリアルに感じ、娘の感情の揺れとともに、ぐっと引き込まれる。寸分の無駄も無い、深いセリフと芝居であった。実は隣席の友人ともども激しく涙し、終演後直ぐにお互い顔を合わせられなかったくらいであった◆井上作品を上演するこまつ座の戦後“命”の三部作と言われている「母と暮せば」も「木の上の軍隊」も拝見している。好きな観劇を通して戦争について考えるのも、私には大切な時間であると思っている。【窪具子】