創業する独立系書店が人々を引きつける
日本では書店が減り続けているのに、海外では書店が増えている地域がある。それを調べるため、本紙で各国の出版事情を執筆している筆者などに、韓国、アメリカ、ドイツ、イギリスの書店数や状況をレポートしてもらった。
国によって社会環境も出版流通や取引条件といった業界の仕組みも違う。そもそも本を売るチャンネルにも違いがあるため一律に比較するのは難しい。それでも、各レポートからは、それぞれの国で「書店」が衰退しているのか、勢いがあるのか、といった傾向の違いは見える。
もちろん、各国課題を抱えているが、書店が増えている国がいくつもあることは数字が示しているし、書店の今後についてポジティブに考えているらしいことも分かる。
各国で共通しているのは、特に「独立系書店」(韓国では従来型書店と区別された独立書店)が元気だということ。独立系書店は資本が独立している個人経営の書店という意味で、日本では「街の本屋」と呼ばれてきたタイプの書店だ。
画一的になりがちなチェーン書店と違った、地域読者に向けた店主や店員の個性を反映した品揃えと店づくりが、いま評価されている。アメリカや韓国などでは、そういう書店が創業によって増えている。新規参入者が書店を魅力的な場所として作り出す。「書店活性化プラン」にもそのことを期待したい。 【星野渉】