某月某日
『味の手帖』巻頭「宮内義彦対談」に同席する。ゲストは、朝日新聞でAERA編集長を務めた後退社し、フリージャーナリストとしてテレビでコメンテーターなど、幅広く活躍する浜田敬子さん。
浜田さんが「真正面からの調査報道を貫けば、『質』の面でまだまだ存在感は示せますよ」(SNSとの「量の戦い」ではなく、信頼される報道の質で勝負すべき)、「メディアが努力を怠れば、社会を知らない人材がどんどん増えていく」(若年層の情報リテラシー低下はメディアの責任でもある)と業界への警鐘を鳴らせば、ホストの宮内さんも「優秀な記者を机に座らせておくのは宝の持ち腐れ」(記者を〝管理職化〟せず、現場に出してブランド価値を高めるべき)、「紙の新聞はニュースを報じる使命を放棄しているのだろうか」(週末版は〝趣味化〟せず、新聞の本質と使命を見つめ直すべき)と双方、新聞界の本質を喝破する。
この対談は来月、小紙に転載するが、浜田敬子さんには今後も紙面やフォーラムの場で、鋭い提言をお願いしたいと考えている。
某月某日
食品メーカーの経営者が10名ほど集まり、昨年8月、「令和の米騒動」の最中に全国米穀販売事業共済協同組合理事長に就任した山﨑元裕氏を囲んで話を聞く。
強調していたのは、米の営業利益率が極めて低いということ。時代劇で観た、米問屋・越後屋が菓子折りに小判を忍ばせる…ことは無く、1%強とか(書店並み?)。
同組合が昨春策定した「米穀流通2040ビジョン」。「現実的シナリオ」では同年には国内需要量375万に対し生産量は363万t、国産だけでは賄えないことになる。「野心的シナリオ」は、多角的な需要の創出や輸出によって需要量が722万tに達し、担い手の確保、効率化、流通改革(適正価格形成、水平/垂直連携など)といった打ち手によって、市場規模6兆円を想像するとある。どこかの業界とよく似た話だが、「想像」が「夢想」に終わらん事を…。
某月某日
連休中の深夜、マンションの同フロアに住む97歳の母が転倒し大腿骨を骨折。手術後3週間でリハビリテーション病院に転院した。 転倒は恐ろしい。同年代の知人は3カ月以上入院したし、別の先輩からは同輩が2人も亡くなったと聞いた。現場は全て、駅の下り階段。「転ばぬ先のエスカレーター」、足腰鍛錬より、命を大切に。