じっくりと調べるAI
日本雑誌広告協会の年次総会後に開かれた記念講演で、OpenAIJapanの長﨑忠雄社長が、AIが発達するスピードの速さや、それに伴い拡大する利用領域などについて話した。いまメディア界でも注目の話題だけに関心の高さを示していた。
OpenAIは「ChatGPT」で知られる米国発のAI企業だが、もともとは2015年にAIの研究所として設立され、それから10年で世界中の多くの人が手軽に使えるAIプラットフォーム企業に成長した。
長﨑氏は講演の冒頭、人類史上のさまざまなイノベーションを映像化した短い動画を流し、生成AIは、過去のどのイノベーションよりも短期間で世界を変えると話した。その動画も動画生成AIの新サービス「Sora」で作成したものだ。
「ChatGPT」は、その名の通り会話(文字)の形でやり取りしていたが、すでに音声、画像、動画も扱える。打てば響くような回答がAIらしいと思っていたら、「ディープリサーチ」という機能は、むしろ時間をかけてじっくりネットを調べるといい、まるで人間のようだ。
メディア界にはAIが著作権を侵害するとの懸念や警戒も根強いが、最も影響を受ける可能性がある産業の一つである。その正確な姿をしっかり追っていくことが必要だと感じる。
【星野渉】