【出版時評】2025年5月20日付

2025年5月20日

NIPPAN Conference記念講演

 

 日本出版販売が年に1回、取引書店や出版社を集める「NIPPAN Conference」は、毎回、記念講演が魅力の一つだ。前回のハロルド・ジョージ・メイ氏の組織改革の話は具体的かつインパクトがあったが、今回のジャパネットホールディングス・髙田旭人社長の話も参加者を惹きつけた。


 通販会社大手として知られるジャパネットたかたを一代で築いた創業者の父親から事業を承継し、10年ほどで会社組織を整備、父の時代に1500億円ほどだった年商を2700億円にまで拡大した。


 その中で、18時半以降在社禁止、年間16連休といった福利厚生の充実、抜擢も降格もある人事制度、それを支えるためのコミュニケーション手段など、改革の数々には驚かされる。


 さらに、地元長崎県の地域振興のため、サッカースタジアムやアリーナ、ホテル、商業施設などからなる複合施設「リージョナルクリエーション長崎」を開業。ここでも斬新な集客手段を次々に打ち出しているという。


 参加した書店、出版社経営者の中にオーナー企業を承継した人々も多く、質疑でも「先代時代の幹部をどう活用したか」といった質問が出た。また、同じように地元企業とスタジアム建設を検討しているという書店経営者がスタジアム運営について質問。地域貢献という視点からも共通のテーマがあった。 【星野渉】