【行雲流水】「The Bunka News」2022年11月29日付

2022年11月29日

 某月某日

 

 『味の手帖』新年号巻頭対談はプライベートでも仲の良い、宮内義彦さんと茂木友三郎さんのホストお二人。冒頭から宮内オーナー率いるオリックスが仰木監督・イチロー時代以来26年ぶりに日本一となったことで盛り上がる。

 

 「リーグ戦ではソフトバンクが106日間ずっと首位で、うちは3日だけ。鳶に油揚げをさらわれたわけで、逆だったら腹が立つだろうなぁ」と。薄氷のリーグ優勝のあとのクライマックスシリーズでも雪辱を許さず、奇跡は起きた。

 

 宮内さん、若かりし社長時代には野球部出身のツワモノに混ざり、財界人チームで〝草野球出身の剛腕投手〞(自称)として登板していた。後楽園や甲子園球場の観客席には、秘書と家族のほかに芸者衆も。社長連中は皆、自分の為に応援に来てくれていると思い、「わざわざ来てくれてすまんな、ありがとう」と小声で言ったり目配せするのが笑えたと、こちらも大笑い。

 

 某月某日

 

 「こどものための100冊」で選書をお願いした、漫才師で3児のパパ、石田明さんによるトークイベント。首都圏に90もの認可保育園を運営する、さくらさくみらいと小社の共催イベントである。

 

 石田さん、絵本の読み聞かせは子育てパパの「強力な味方」と、どんなに疲れていても毎日欠かすことはない。「自分自身も、ほかの家事をしているママもにっこり、ハッピーな気持ちになります」と。谷川俊太郎さんも「大人の中の幼児性をクリエイティブな要素として大切に」と語っているが、石田さんのお笑いの原点もそこにあるのかも。柳田邦男さんの言う、「絵本は人生に三度」の〝三度目〞も中高年になってからである。

 

 某月某日

 

 茂木健一郎氏との『味の手帖』ランチ対談に同席。小社発行のギフトブックカタログの選書でも毎回お世話になっている同氏は、とりわけ夏目漱石を敬愛し、その圧倒的な文学性の高さは「神様」とまで言う。例えば、「坊っちゃん」は何周も読んだが、毎回違う発見があると。本は読めば読むほど、そして数が多いほど高いところから広く世界を観ることができる。乱読で得る雑多な知識が発酵し、脳の中で腐葉土となる、とも。

 

 彼方此方話がスキップする天才は、明るい気配りの人でもあった。「創造性の豊かな人は上機嫌の人が多い」とは自身を映す。前夜飲んでいたという神保町は北沢書店ウラのサロンが気になるな…。

 

【代表取締役・山口健】