【出版時評】読書推進月間、業界挙げてアピールを

2022年11月1日

 初めてとなる読書推進月間が10月27日から始まった。例年はこの日から2週間が「読書週間」、11月1日が「本の日」など、いろいろなイベントが開かれてきたが、今年から業界挙げての取り組みとなる。本や雑誌を出しながら、業界としてのアピールが足りないといわれてきただけに、この機会に是非とも本の魅力をアピールしたい。

 

 「読書週間」は太平洋戦争が終わった2年後の1947年にスタートした。戦災の跡は生々しかっただろうが、平和になって将来への希望に満ちた時代でもあったのだろう。「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という意気込みで第1回が行われたという。

 

 10月27日は「文字・活字文化の日」だが、これは2005年成立の「文字・活字文化振興法」で制定された。「読書週間」がこの時期なのは、11月3日「文化の日」を中心にした2週間ということらしい。「文化の日」は新憲法公布の日、かつての明治節(明治天皇誕生日)でもある。

 

 チョコレート業界の「バレンタインデー」や生花業界の「母の日」などはすっかり定着しているが、最近ではハロウィンやブラックフライデーといった馴染みのなかったイベントも一般的になってきた。欧米で本はクリスマスギフトの定番と言われるので、この時期にそんな楽しみをアピールするのもよいだろう。

 

【星野渉】