【行雲流水】「The Bunka News」2022年11月1日付

2022年11月1日

 某月某日

 今年創業110年、キャンディ市場最大手のカンロ・内山妙子執行役員を囲んで勉強会。1955年に発売した「カンロ飴」はロングセラーだが、近年糖質が敬遠され「飴」は長期低迷が続いている。90年代以降は「グミ」の伸長著しく、同社売り上げ構成比でいよいよ「飴」を凌駕するらしい。

 2012年当時マーケティング部にいた内山さんが、「キャンディやグミを贈る文化」を創るべくグランスタ東京に開業した「ヒトツブカンロ」が今、大変なことになっている。「グミッツェル」を齧るASMR動画がユーチューブで拡散しブレイク、開店前には100人を超える行列が。オンラインでも完売、入手困難な状態が続く。

 そして今注力するのがZ世代に向けた取り組みで、高校生モデル・タレントによる商品開発を今年始めたほか、3通りの世界観で、舐めている時間が「エモい」、「EMOTIONAL CANDY」を発売した。一番人気は、「『夜よ、おわらないで』〜忘れられない夜の夢の味」。こうした「飴」復活を期す新たな価値を創る試みは、活字業界への示唆に富む。Z世代が創る世界観=エモい新聞、エモい本、夜に読むための本…。

 某月某日

 アスコム・高橋克佳社長を訪ねる。社長直轄事業として取り組まれているという、エージェンシー業務が書籍販売と相乗効果を上げているという話が興味深い。 辻井伸行さんや池江璃花子さんの母など、17名の著者を含む34名と契約し、番組出演や講演をプロモートしている。特に、『間違いだらけの洗濯術』の著者「洗濯ブラザーズ」の3人は〝専属タレント〞として昨年は16回のテレビ出演を果たすなど人気を博し、同著は8万部を超えるベストセラーになった。「残り湯だと綺麗にならない」「ドラム式より縦型の方が綺麗になる」「脱いだものを洗濯機に放り込んでおくと臭いの原因になる」「天日干しより、部屋干しの方が服が傷まない」などなど、我が家洗濯係の私、ふむふむと頷く。

 某月某日

 8月末に弊社元社長で前相談役の重枝耕也さんが脳梗塞で逝去した。昨年会社で異常を訴え入院。手術し回復するも、今年のGWに再び家族旅行先で倒れ、リハビリ治療のため長期入院していたが、8月に容体が急変したらしい。仲人を務めた亡き父が日頃「耕也君」と呼んでいた重枝さん、68歳は早すぎます。残念。感謝。合掌

 

【代表取締役・山口健】