【出版時評】出版インフラの世界的競争

2022年2月15日

 メディアドゥ傘下のアメリカのファイヤーブランド・グループが、イギリスで出版社向けにEコマースサービスを提供している企業をグループ化した。この企業が提供するサービスは、アメリカとイギリスの主要出版社がほとんど利用しているという。

 

 書籍のゲラを電子データで書店や図書館、そして本のインフルエンサーに提供するサービス「ネット・ギャリー」は、日本でもインフラになりつつあるが、もともとはファイヤーブラン・ドグループがアメリカで提供してきたサービスだ。今回傘下に入った書籍Eコマースも、出版社にとってインフラといえる。

 

 出版インフラで代表的なものは、書籍の情報を集約する書誌データベースであろう。日本では日本出版インフラセンター(JPO)が構築している。

 

 JPOがその手本にもしたドイツの書誌データベースを運用するMVB(業界団体=ドイツ図書流通連盟の子会社)は、ブラジルでも書誌データベースを運用し、アメリカでは出版社・書店間の受発注インフラを買収している。

 

 出版業界のDXが進むことで、これまでの物流インフラと同様に、デジタルのインフラの存在感が増す。しかもデジタルなら容易に国境を超える。世界規模での競争が始まっているであろう。

【星野渉】