【出版時評】「出版業界のメディアドゥに進化」

2021年10月26日

 メディアドゥの藤田恭嗣社長CEOは、先日開いた第2四半期決算説明会で「当社は電子書籍のメディアドゥから出版業界のメディアドゥに進化していかなければならない」と発言した。トーハンとの提携で開始したNFT特典付き出版物に触れた場面である。

 

 最近の展開を見ていると、その言葉には納得させられる。電子書籍取次としては国内最大のシェアを持っているのに加え、電子図書館やNetGalley、そして書店で販売するNFT特典付き出版物から、近く光和コンピューターと提携し出版社向け基幹システム事業も手がける。

 

 出版業界に求められている変化を一言で表現すればは「デジタル化」であろう。電子出版に限らず、リアルの流通であっても、旧来の制度を改革するためには、デジタル技術を使って流通・取引などを効率化することが欠かせない。その技術を出版業界に基盤を置く企業が担う必要がある。

 

 多くのエンジニアを抱えるKADOKAWAグループの取り組みや、大手出版社による業界外企業との提携なども、出版業界のデジタル化を進めようとする動きである。

 

 そんな中でいまのところメディアドゥの活動とその実績は注目に値する。この先に「紙」と「電子」の境目がない「出版」が見えるのだろうか。       

 

【星野渉】