【出版時評】業界外へのアピールも大切

2021年7月19日

 当社の創業75年を記念して7月13日にシンポジウムを開いた。有隣堂・松信健太郎社長、日本出版販売・奥村景二社長、河出書房新社・小野寺優社長、トーハン・近藤敏貴社長をお招きし対談していただいた。

 

 東京千代田区の神田明神にある新しい会館のホールを借りて、リアルとオンラインのハイブリッドで実施したところ、合わせて全国各地の700人が参加した。オンラインンならではの広がりだ。

 

 対談では松信社長が書店のマージンアップや、そのための流通改革の必要性を強調。一方で奥村社長は改革のために「本の価値」を改めて世間に伝えることの必要性を提起した。

 

 小野寺社長も業界の外に向けたアピールが重要だと発言。そして7日に出版文化産業振興財団の理事長に就任したばかりの近藤社長は、ドイツの出版業界団体の例を示して、書店をもり立てるためロビー活動などの必要性も指摘した。

 

 出版関係の講義を受講した大学生が、はじめは出版の今後にネガティブなイメージを持っていても、現在進む変化の一端を知ると、「見方が変わった」と目を見張ることがよくある。それほど世間が持つイメージと現実にはギャップがある。業界内の改革を進めるためにも、こうしたイメージを変える外への働きかけが必要なのだろう。           

 

【星野渉】