【行雲流水】文化通信2021年7月12日付

2021年7月12日

 某月某日

 平井卓也デジタル改革担当大臣と神戸新聞社・高梨柳太郎社長にご登壇いただき、小社75周年記念シンポジウムを開催する。平井大臣は私より一週間遅い生まれの同年であるが、信念をもって自分の言葉で語る姿は好漢、快男児。「新聞の信頼性が競争力の源泉」と語り、地方銀行と連携した情報銀行構想も披露する。対する高梨社長は、分散化社会において、地方のもつ魅力を新たなデジタルコンテンツとして発信していくと応じ、南美希子さんの安定感のある司会進行により無事終了。次回第2弾は出版界向けに星野専務がコーディネートする。乞うご期待!

 夕刻、全社員で懇親会。予定では東天紅でパーッとやる予定だったが、マンボウにつき酒類提供が不可となり同店から取り寄せとなるがどれもウマい。かつて小社に在籍し、現在も外部ライターをお願いしている星野専務の妻・理栄さんも参加。「私がいた時よりもみなさん仲良しですね」と言われたのは嬉しかった。

 某月某日

 『味の手帖』でニッポン放送・檜原麻希社長にランチ取材。

 若かりし頃は深夜放送より早寝早起きだったが、それでも今はなき「パックインミュージック」や「セイヤング」は懐かしい。

 スマホで聞けるラジオ、「radiko」は檜原さんが旗振り役のひとりとして立ち上げたと。一週間以内に放送された番組のほとんどを無料で、さらに聴きたいところだけをつまみ食い(聴き)できる。檜原さん曰く、「ラジオはハンズフリーでアイズフリー」。目ん玉を酷使するデジタル社会において、こうしたアナログコンテンツの復活は間違いないと、老眼の進む初老の身として実感する。

 某月某日

 「こどものための100冊」キャンペーンにご協賛いただいた全国書店再生支援財団の理事会に経過報告のため同席する。併せて今秋開催予定の「ギフトブックキャンペーン」とプレゼント企画の構想についてもお話しする。

 新たに同財団の代表理事に就任された渋谷・大盛堂の舩坂良雄社長と初めてお目にかかる。「本のデパート大盛堂」といえば、神宮前小学校、原宿中学に通い、東急に就職した私にとって、長らく知識の泉湧く聖地であった。業態を変えればはるかに利益の出るはずであろう超一等地に店を構え書店経営を続けられる志に密かに敬服していたことである。

【文化通信社 社長 山口】