【つぶや記】文化通信2021年6月7日付

2021年6月7日

 若い頃、道端で天気の会話をしている大人を見て不思議で仕方なかった。天候で左右される仕事でもなく、洗濯物の作戦会議なら天気予報で十分。ビジネス書的にもトークスキルの低さを露呈するだけで営業活動時の天気ネタはNGだそうだ。

 

 しかし、年を取るにつれ、浅い間柄の会話の「入口」、「助走」として便利なテーマだと理解していく。昨年から様子が一変。自宅近所の井戸端会議(主に高齢者)に聞き耳を立てると、天気の話はめっきり減った。「コロナいつまで続くんだろうねえ」、「恐ろしいねえ」等々…。なるほど、ごもっともな話題だ。

 

 近頃は「注射打った?」が圧倒的。「ワクチン」でなく、「注射」と言うところが関西人らしい。40 歳、50 歳と節目を迎えるたびに「年は取りたくないな」とぼやくが、今は65歳以上と特権階級が羨ましい。大阪の夏は蒸し暑い。早く「注射」を打ってマスクを外したい。

【堀】