【出版時評】雑誌レーベル別のコミック棚

2021年3月1日

 コミックの市場規模が電子と紙を合わせて6000億円を超えた。電子が全体の6割を占める。電子コミックがコミック雑誌の売り上げを超えたのが2015年。それから5年でコミック雑誌ピーク(1995年)の売り上げ3357億円を超えた。

 

 劇的にコミック市場の構造が変化したのは、コミックという表現方法がデジタルと親和性が高かったということであり、音声や映像、画像などメディアの利用が多様化し融合する中にあっても、コミックは競争力が強いコンテンツだということである。

 

 コミックの読まれ方も変わってきた。かつてはコミック雑誌の連載が入り口になっていたが、今はアニメやドラマといった映像化からヒットする。しかし、いまも書店では雑誌レーベル別の棚が目立つように思う。

 

 コミック誌を読まない知人がドラマを見て、書店にいっても原作を探せないからネットで買ってしまうと嘆いていた。著者名すら知らず、「鬼滅」「逃げ恥」で探す人にわかりやすいのは、タイトル50音順だったりする。

 

 並べ方を変えると棚管理が難しくなるのはもちろんだが、最近は文庫の著者別棚も増えてきた。メディア受容の形がこれほど変わっているのだから、こちら側(業界)の都合(管理)を、迅速にお客が探しやすい方法に合わせないと、取り残されるのではないかと不安だ。

【星野】