【出版時評】人間関係の潤滑油に

2020年8月10日

 当社で初めての企画となる『新聞人・出版人』を刊行した。新聞や出版を中心とした業界の経営者の皆さんを、経歴と写真で紹介する年鑑で、職歴とともに、生年、出身地、出身高校・大学、そして趣味なども収めているのが特徴だ。

 

 いまはすっかり人と出会う機会が減ってしまったが、一方で、視察ツアーでお世話になったドイツの人とオンラインで打ち合わせをすると、距離感の意外な近さに驚かされる。例えコミュニケーションのツールが変わろうとも、相手のことを知っていれば、すぐに打ち解けられる。

 

 出身地や出身校などだけで人を評価すべきでないのは当然だが、共通項を見つけて関係が良くなることも確かだ。そもそも他人に対して最初から悪意をもっていることはほとんどないが、知らない相手はどうしても警戒してしまう。それが同郷や同窓だと分かったとたんに打ち解ける。

 

 このことは、国と国との関係ではなおさらだ。ニュースなどの情報でマイナス面がフレームアップされ、悪い印象をもっている国でも、直接その国の人々と接すると「意外にいい人だった」と感じることがほとんどだ。

 

 そのような人々の気持ちや考え方、生活の様子を伝えるのも出版物の役割である。『新聞人・出版人』もそのようなお役に立てればと考えている。ぜひお手にお取りいただければ幸いです。

 

【星野】