【出版時評】書店でのギフト需要を創出

2020年8月3日

 各地に水害をもたらした長い梅雨はそろそろ明けようとしているが、ウイルスの感染は勢いが収まらない。年度内の会合など多くのイベントは中止に追い込まれている。

 

 そんな中ではあるが、今年年末に本の需要と書店を活性化する「ギフトブック・キャンペーン」という試みを実施する。

 

 これまでも本を贈ることを促進する取り組みは行われてきた。しかし、子どもに児童書を贈るほか、本を贈る習慣はなかなか定着しない。

 

 ご存じの方も多いと思うが、欧米では本を贈る習慣が定着している。年末のクリスマスシーズンには、書店をはじめ本を扱う量販店などもギフト用の装いとなり、多くの人が訪れる。出版社や書店にとって年間売り上げの相当な割合がこのシーズンに集中している。

 

 そのため、大判の写真集や図鑑、画集などビジュアル書籍などギフトを向け商材も多く刊行される。日本で外商向けに翻訳刊行される欧米の大型図鑑なども、ギフト需要を見込んだ企画であることが多い。

 

 他の国々でこれほど盛んなことが、日本で広がらないことはないだろう。クリスマスは言うに及ばず、最近にわかに盛り上がるハロウィンしかりだ。外出自粛などで改めて見直された書店空間の価値を、ギフトという新たな需要創出でさらに盛り上げていきたい。

【星野渉】