【行雲流水】文化通信2020年5月11日付

2020年5月11日

某月某日

 目白駅前「旬香亭」で「ビフカツサンド」と「ヒレカツサンド」をテイクアウトし自宅で齧り付く。減圧調理ゆえにうま味が損なわれず、肉質も柔らかくジューシーで実にウマい。微力ながら『味の手帖』名店会の一助となれば。

 午後、小社第1回オンラインセミナーでふたば書房・洞本昌哉社長の話を聴く。料理レシピ本や歴史小説が好調、歴史やコミックなどの全集モノを求める客もいるらしい。長期閉店中に全店のエアコンを清掃やマニュアルの見直しなども。洞本さん、じっくりモノを考える機会にしたいと前向きだ。

某月某日

 連休直前の午後、第2回オンラインセミナー。公認会計士協会の渡邊芳樹常務理事から様々な支援策の解説がある。最後に経済産業省とのやり取りで渡邊氏が感じた、アフターコロナに起こるであろう構造変化に瞠目する。

 ひとつは、テレワークや外部とのミーティングなど、非対面式のビジネス環境をしっかり整えるための助成金、補助金が検討されていて、収束後のビジネスシーンが大きく変わることを暗示していること。2つ目は、融資に対する利子の減免、猶予が切れる1年後に、相当数の企業が倒産の危機に直面するであろうということ。そして最後に、経済の実態が明らかになるにつてれ株価が下落すると、ウイルスならぬチャイナマネーが日本の企業や不動産を買収する動きに注意しなければならないと。昨今のアジア各国への巨額の投資やマスク外交といい、強かで油断できない国の“日本買い”か。

某月某日

 午後「第2回 『味の手帖』おなかのすくセミナー/よくわかる日本肉食史」。講師はタベアルキスト・マッキー牧元さんで、受講者に交じり『どんな肉でも旨くする サカエヤ新保吉伸の全仕事』(世界文化社)やNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも登場した新保さんや「人形町今半」の高岡哲郎副社長、「バードランド」和田利弘さんなど、図らずも肉の匠たちが奥義を語り合い盛り上がる。真牛(未経産の牝牛)、去勢牛、経産牛の肉の質と色味の違いから畜産業の将来まで、聴くほどにおなかがグーグー反応する。

 夕刻、近所の肉屋でイチボを求め、醤油と酒、蜂蜜少々に漬けてさっと焼き、御飯に載せて山椒を振った「山椒牛丼」を搔き込む。

【文化通信社 社長 山口】