【出版時評】新たなツールで役割を果たす

2020年5月11日

 このところテレビでは、ドラマなど、多くの人が参加する作品の収録ができないため再放送などが増えているが、報道番組などは出演者がテレビ会議システムで登場するケースが目立っている。やむを得ざる対応だろうが、数カ国の識者にインタビューする場合など、むしろ取材に訪れたり、相手を招くより相当コストも安いのではあるまいか。

 

 当社でも業界関係者に向けて開催している「文化通信フォーラム」をはじめとしたセミナーなどを延期せざるを得ない状況が続いているが、先日、始めてオンラインでのセミナーを開催した。

 

 京都に本拠を置く、ふたば書房の洞本昌哉社長を講師にお迎えし、緊急事態宣言下の書店経営などについて生々しい状況を語っていただいたのだが、出版社などとともに、地方の書店経営者も参加して、発言もいただくことができた。

 

 これまでは、どうしても東京での開催になるため、講師も参加者も東京周辺の方がほとんど。地方の書店などから、興味があっても参加が難しいというお言葉もいただいた。

 

 私もいまの状況になって始めてZoomなどを使うようになったが、参加者からの発言も、チャット機能などを使うことでリアル会場よりも活発になる面もある。インフラの強化や運営方法など、まだ改善すべき点も多いが、新たなツールで、役割を果たしていきたい。

【星野渉】