【行雲流水】文化通信2020年4月20日付

2020年4月20日

 某月某日

 ロックダウンが噂される夜、新橋「大盛苑」で男4人、しばしの別れを惜しむ。個室中心の店づくりだが、“三密”を避けホール席を予約。普段は満員御礼の人気店も、訊けば今夜の予約は我々の他に一組だけと、従業員は手持ちぶさたの様子。ゆったり座れば強力な無煙ロースターの換気でコロナ対策万全の業態と思うのだが。

 まずは持ち込んだ白ワインでホルモン、丸チョウ、ハラミスジをすべて塩で。続いて赤ワインを抜いて、タレ漬けカルビと同店名物の特大「ジャンボハラミ」をハサミで切り分けて楽しむ。希少部位も多く揃うが、今夜はリーズナブル&ボリューム重視で大満足。

 某月某日

 新年度がスタート。友人の会計士や経営者からもたらされた「4月1日・ロックダウン説」は、果たしてフェイクニュース、またしても踊らされる。つくづく新聞の情報以外は信じぬことである。

 外出自粛要請を受け、可能な限りリモートワークとした。かねてより服装は自由、“痛勤”ラッシュで無駄にエネルギーを使わぬためにフレックスタイム制にしていたが、ZOOMによる社内外とのミーティングは未知の領域。まさに令和時代の“働き方改革”を実感する昭和のオヤジである。

 そのZOOM会議で新年度の予算方針を全員で共有、前年度の見込みを上回る利益目標とした。前年度決算も徐々に見えてきたが、小社では経常損益の1/4を次年度報酬に加減算するルールとしている。幸い今回もわずかだがプラスとなる見込みではあるが、新年度はのっけからコロナ禍で出鼻をくじかれた形。挽回せねば。

 某月某日

 緊急事態宣言でステイ・ホーム、犬ならば“ハウス!”の日々が続く。ハウスといえば、ハウス食品の子会社、GABAN社の「高知県産・仁淀川山椒」の圧倒的に豊かな香りと、京都大学矢澤進名誉教授氏が開発した直径5ミリほどの「京の黄真珠唐辛子」のフルーティな辛味にハマっている。

 このところ男子厨房に入る機会が増え、といっても、朝、「文豪珈琲・宮沢賢治」を淹れて目玉焼きとチーズトーストに唐辛子をゴリっ、昼はサッポロ一番に冷蔵庫の残り物を入れて山椒をゴリゴリっとかけて楽しむ程度だが、ジンセイも仕事も食べ物も、スパイシーであり続けたいと思っている。