【つぶや記】文化通信2020年4月13日付

2020年4月13日

 弊社でもテレワーク移行が始まった。私が住んでいるのは、100 人以上が住む大規模シェアハウスのため、クラスター感染のリスクが非常に高い。だが住民の自衛意識も高く、不要不急の外出はもちろん、建物内での濃厚接触も避けるよう生活している。

 

 そのため、いつもは住人同士の交流で賑わっている共用スペースも静かで、在宅作業をしている人達が、社会的距離を保ちながら働いている。

 

 私もこの原稿を、屋上の誰もいないスペースで書いている。見下ろす街並みはとうに桜が咲き終わり、春の心地良い風を感じるものの、外には出られず閉塞感を覚える。他の住民も皆が早くこの非常事態が終息して欲しいと口々に零すが、お互いに助け合い、生活を続けながら、春を忍んでいる。

【野中】

 


 

 コロナ騒動は収まるどころか、遂に緊急事態宣言を国が出すまでに至った。自分の努力ではどうにもならない外的要因で経営の岐路に立たされた、シェフやオーナーたちの悲痛な声が毎日のように聞こえてくる。

 

 日本が観光立国になりたいのなら、ほかの国には見られない多種多様な食を、素晴らしいレベルで提供する料理人たちを守らなくてどうするのか。

 

 それでもシェフたちは日本が誇る食文化の一端を担っているという自負と、美味しいものを作りたい、という職人気質で自らを奮い立たせ、また待ってはくれない自然と向き合っている生産者さんを守るため、デリバリーやテイクアウトで食の提供を続けている。

 

 美味しい食事には、人の幸福の根源が詰まっている。何としてでもこの食文化を絶やさないでほしいと願うばかりである。

【宮﨑】