【行雲流水】文化通信2019年12月9日付

2019年12月9日

某月某日

『味の手帖』のデザインをお願いしている藤枝リュウジさんご夫妻と、編集、デザインスタッフ総勢9名で10年ぶりの旅は台北へ。

 

 JAL派なのだが、案配のいい全日空便に搭乗。エコノミークラスなのに2通りのメニューから選べる機内食に驚く。しかもなかなかに美味しいではないか。やるなANA。

 

 到着後、台北旅行の定番が集中する永康街の「度小月」でランチ。シャキシャキした歯応えの水蓮菜の炒め、しじみの醤油漬け、蛤とへちまの蒸しもの、そして同店名物の担ターアーミー仔麺を。具材は担々麺と同じだが、こちらは辛くない。台湾の圧倒的ナンバーワンビール「台湾啤酒」が干天の慈雨である。

 

 食後、周辺を散策。タピオカゼリーやマンゴーアイスの店に行列が。茶藝館「半畝院子永康館」で阿里山と杉サンリンシー林渓の茶畑で手摘みされた高山茶を淹れてもらう。5煎目まで一碗ごとに変化する香りの違いを楽しむ。

 

 夕食は台湾創作料理の店「四知堂」へ。小さな表札から路地を入り木の扉を開ければ広々とした空間が。古民家を改装し、センスの良いアンティーク家具と調度品を配している。本棚がありジャズが流れ、ほのかにいい香りが漂う、家にいるような寛ぎがある。

 

 料理も素晴らしい。野菜サラダにはスライスしたリンゴと長芋と雲白肉が。野菜炒め、蟹味噌味の獅子頭(ミートボール)、アカムツの清蒸にはオリーブオイルが使われレモンが添えられている。そうくるならと、オレンジワイン(皮や種ごと発酵させたオレンジ色の白ワイン)を。〆は排骨と茸の卵和え飯と、椒麻麺。甘味は柿のコンポートにマスカルポーネチーズが仕込まれている。お見事。

 

 某月某日 二日目。午前中は故宮博物院をゆっくり巡る。3~4回訪れているが、相変わらず大変な賑わいだ。有名な翡翠の白菜には長蛇の列が。メノウの豚角煮(肉形石)は貸し出し中。

 

 Uberで移動(便利!)し、ランチは「點水樓」で小籠包を。行列の絶えない有名店「鼎ディンタイフォン泰豊」も美味しいが、ここは予約ができるのと、オールド上海を想わせる落ち着いた内装が好きだ。葱油餅もウマい。故宮博物院で観られなかった豚の角煮をやっつける。

 

 食後は「森高砂珈琲館」へ。日本統治時代に始まったコーヒー栽培は、太平洋戦争で一気にしぼむが、近年再びブームに。同店はその草分け的な存在である。好みの味を伝えると豆をチョイスしてくれる。ガラス管に注がれたもので色合いと低い温度で味を確かめた後、熱いコーヒーを味わう。鮮度が高いためか、フルーティーで甘い余韻を感じる。

 

 夕食は来台すると必ず訪れる「欣シンイエ葉」へ。今回は台北101タワー近くの信義新天店にした。人気店ゆえ予約をしたが20分待たされる。週末とあって明るい店内は地元のファミリー客であふれている。

 

 イカ団子、酸辣湯切り干し大根の卵焼き、活き伊勢海老のトマト炒め、ホタテ貝柱のXO醤炒め、マコモ茸とサツマイモと桜海老の炒め、タロイモの汁ビーフン、牛肉麺、牛肉と枝豆のチャーハンなど、すべて絶妙な塩梅とやさしい味で、期待を裏切らない。

 

 帰途、ぶらり「誠品書店」をひとまわり。書籍とそれ以外の物販アイテムを配置・編集する流れとリズムがいい。空間から書籍まで、デザインの持つ力の大きさを体感する。