【つぶや記】文化通信2019年12月9日付

2019年12月9日

 大阪天満宮の一角に御文庫と呼ばれる土蔵がある。大阪の版元が奉納した和漢書10万冊を所蔵。元々は版木の焼失や破損に備え、初刷本を収めた。大阪書林御文庫講と大阪出版協会の有志らが、本の傷みを確認しながら虫干しを行い、保存に努めている。

 

 過日、この取材に訪れたが朝から雨模様。現地は雨が止み「できるかな」と思ったのは素人考えで、人の出入りが湿気を運び込むと、扉を開けずに中止。そこで、大阪天満宮文化研究所員・高島幸次さんから、天満宮の最も古い境内図を基に話を聞く。

 

 寺社の成り立ちに「あっ、なるほど」と感じる由緒書きはほとんどウソ、その時代の共通概念が失われ、理解が伴わない現代人が納得しやすい話に置き換えられているという。理屈が通らない話にこそ真実が隠れている。面白い見方を一つ教わった。

(櫻井)

 


 

 メルカリを筆頭にC2C 市場が活況だ。私もすっかりメルカリユーザー、先日購入したコートを愛用中。

 

 さて、このメルカリ人気の理由、「手軽さ」や「お得さ」だと指摘する声は多いが、それ以上に「人間臭さ」にあるのではないか。昨今買い物は匿名化されている。「いつでも・どこでも・誰でも」購入可能なアマゾンなどのECはもちろん、実店舗でもFC店には「どこでも買えるモノ」が、同じように並び、一律の接客で販売される。一方、メルカリにあるのは、一つ一つ状態の違う商品。ゆえに、値段交渉などの一対一の対話が生まれ、一回きりのユニークな売買体験が生まれる。

 

 今多くの人が、そのかつて当たり前にあった人間的なプロセスに惹かれているのではないか。時代は今後「汎」から「個」へと大きく意識の転換をしていくのかもしれない。

(須藤)