日本出版販売株式会社(日販)は、2023年より、書店向け発注プラットフォーム「NOCS0(ノックスゼロ)」の提供を開始した。2026年1月現在、全国4000店以上が導入し、書店の運用コストの負荷軽減と出版流通のDX推進に寄与している。1月には新たに「企画申込機能」を追加し、出版業界全体の情報流通の最適化を目指す。
“誰でも・どこでも・無料”で使える「NOCS0」
「NOCS0」は、“誰でも・どこでも・無料”で利用できる書店向けの発注プラットフォームだ。シンプルな設計と直感的な操作性を特徴とし、年齢を問わず使いやすい点が評価されている。パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットにも対応しており、売場や外出先からでも発注作業を行える。月額利用料は無料で、ユーザーIDも複数作成が可能。担当者ごとにアカウントが設定できるため、店舗内の業務分担にも対応しやすい。

NOCS0のロゴ
日販はこれまで、1984年にリリースした書店向け発注システム「NOCS」シリーズをアップデートしながら「NOCS7」まで提供してきた。しかし、システムの老朽化を背景に、ゼロベースで再構築してできたのが「NOCS0」である。リリース当初は検索・発注機能のみだったが、書店の要望を取り入れながら、機能を拡張し進化させてきた。
書店業務支える4つの機能
「NOCS0」の主な機能は4つ。商品情報の検索や注文商品などの追加発注ができる「商品検索・発注機能」、商品情報や販促情報など日々の営業に関わる情報を個店別に最適化してメッセージ配信をする「情報配信機能」、新刊・重版の申し込み(店頭在庫分・客注分)と送品予定数を確認できる「事前申込機能」、そして今年1月、新たに追加された「企画申込機能」だ。
この「企画申込機能」は、これまでメールや電話、FAXなどで提案していたフェアやキャンペーンなどの店頭企画を「NOCS0」上に集約するもの。企画内容や実施日などの情報確認から企画の申し込み、対象商品の発注までを同一画面で一元管理できる。さらに、複数店舗分の対象商品をチェーン本部が一括で申し込みすることも可能となり、店頭企画の管理と発注業務の効率化、チェーン本部での業務効率向上が期待される。

企画申込の画面
また、申し込み履歴を含めた管理を一元化できる点も特徴だ。これまで複数の手段で行われていた申し込みを「NOCS0」に集約することで、売場計画の作成や管理のさらなる効率化が見込まれる。今後は、出版社企画の掲載拡大を進め、利便性の向上をさらに図っていく。
「NOCS0」を導入している書店からは、「売場にいながらスマートフォンで発注できるため、PCのある場所に戻る手間が減った」「フェア情報を一覧で確認できるので売場づくりの参考になる」といった声が寄せられている。書店から日販のカスタマーサービスへの問い合わせも約7割減少。電話をせずとも必要な情報が確認できるようになったことで、現場の業務効率化につながっている。
無料で利用できる業界プラットフォームへ
日販マーケティング統括本部統括チーム課長の佐藤雄紀氏は、「無料で利用できることに加え、幅広い年代が使いやすい仕様にしたことで、町の小規模書店を含む取引書店の99.9%に導入いただけた。出版流通を持続させるための取り組みとして、出版業界のDX化を進め、出版社・取次・書店の三者の業務負荷軽減と売上向上に貢献していきたい」と話す。

佐藤雄紀氏
さらに佐藤氏は「書店を取り巻く環境は年々厳しさを増している。長期的な市場規模の縮小に加え、各種運営コストの上昇が書店経営を圧迫している」と指摘。そのうえで、「書店の運用コスト負担軽減を目的にリリースした。フリーの業界共通オープンプラットフォームとして活用してほしい。新機能については、ぜひ出版社にも活用してもらいたい」と期待を寄せた。
