出版物・知育玩具の制作・販売を行う株式会社くもん出版は、書籍事業において2024年に一般書も含めて電子出版を本格化させた。これに先立ち23年には光和コンピューターのSaaS型電子書籍売上・印税管理システム「PUBNAVI」を導入。これから拡大が見込まれる電子書籍事業の推進体制を整えている。
同社は1980年、公文教育研究会の出版部門として発足し、1988年に出版社として独立した。公文式教室の実践の場から生み出された幼児、小学、中学向けドリルをはじめとした学習参考書や児童書・絵本、そして大人向けドリルなど一般書も刊行。刊行点数は年間100点ほど。刊行点数、売上とも学習書が主力だ。
一方、一般書でも、脳トレブームの先駆けとなった川島隆太氏による「脳を鍛える⼤⼈のドリル」シリーズが大ブレイクしたのをはじめ、最近では大人の学び直し「解きながら」シリーズが伸びている。


売れ行き良好な「解きながら」シリーズの「語彙力」(上)と最新刊「文章力」
また、2023年9月に刊行したYA小説『杉森くんを殺すには』は、書店員や読者がSNSで感想を発信したことで拡散され、すでに累計4万部に達する売れ行き。24年4月に発売した電子版も同社の電子書籍の中では最多の販売数となっている。

紙も電子も好調な『杉森くんを殺すには』
営業企画本部長の上田憲親氏は「今後は紙と電子の同時刊行を拡大させていきたい」と話している。
2024年から電子書籍事業を本格化
電子出版については、2011年に経済産業省の委託事業として日本出版インフラセンターが実施した「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)がスタートだった。この時100点ほどを電子化し、電子書店での販売を開始した。
しかし、本格化させたのはここから10年ほど経過した2020年代だった。電子書籍の市場、特にドリルなどの分野は電子版の利用が進んでいなかったため、優先順位が高くなかったからだ。
それが、2019年からスタートしたGIGAスクール構想によって学校でのデジタル端末の導入が進み、「Lentrance(レントランス)」や「Libry(リブリー)」といったデジタル教材プラットフォームが普及。こうしたサービスからの引き合いを受けて、学習参考書コンテンツの提供を開始した。
そして、2024年には学習参考書以外の一般書籍、特に児童読み物について新刊、既刊の電子化を本格化させた。

上田氏
これまでに電子化したのは緊急電子化による100点を含めて175点。このうち20点が教材プラットフォームに提供している学習参考書、55点が児童読み物。「紙と電子を両輪としながら、さまざまなジャンルの電子出版を拡大し、より多くの読者に教育コンテンツの価値を届けていきたい。そこに向けて仕組みと体制を整えていく」と上田氏は話す。
PUBNAVIで1~2日の作業が一瞬に
こうした段階で同社では、2023年7月に「PUBNAVI」を導入した。「2024年に電子書籍化を本格化させるのに向けて、印税支払いについても仕組みを整えるためPUBNAVIの導入を決めました」と営業部営業推進チームの塚原由希子氏は説明する。
それまではExcelを使った手計算で各電子取次などからの売上報告を集計し、チェックする作業に1~2日かけていたが、PUBNAVIを導入することで「マスタを整備する必要はありますが、データを取り込んで集計するのは一瞬で終わります。メールによる支払い案内もクリック一つで送信できます」と塚原氏は手軽さを強調する。
また、以前は電子取次や教材プラットフォームの販路別のデータを集計しなければならなかった電子書籍の販売ランキングなども、簡単に出せるようになった。今後、電子書籍の図書館向けの販売も検討しており、こうしたチャンネルに対応できる点もメリットだと見ている。
株式会社 くもん出版
代表者:泉田義則
設 立:1988年2月
所在地:〒141-8488東京都品川区東五反田2-10-2
東五反田スクエア11F
電 話:03-6836-0301
資本金:1億円
従業員:123人
