白石書店 RFIDタグを活用した購入者キャンペーンを実施

2025年12月19日

専用端末と実装された抽選用の画面

 

 北九州市に店舗を構える白石書店は、RFIDタグを活用した購入者キャンペーンを12月15日から実施している。このほど文庫化された『一線の湖』(砥上裕將著/講談社)を白石書店本店で購入した顧客を対象とし、購入者はRFIDタグの専用端末に対象商品を読み込ませることで、著者の水墨画入りサイン色紙がもらえる「抽選ガチャ」に参加できる。

 

 一般的な購入者キャンペーンでは、購入から時間が経過した場合、対象店舗で購入したかどうかの判別が困難であったが、今回のキャンペーンではRFIDタグにひもづけられた識別番号により、その判別が可能となる。

 

 白石書店・白石隆貴専務取締役は、RFIDタグを活用したキャンペーンについて「これまで対象店舗で購入されたのか、ネット書店をはじめ他店舗で購入されたのかの判別が課題であったが、RFIDタグを活用することでそれが解消される。対象店舗で購入しないと抽選に参加できない仕組みで、対象店舗として明確に打ち出すことで、他店との差別化が図れる」とメリットを語る。さらに抽選済みによる重複参加を防ぐことができ、抽選の公平性を担保できる点も大きいと白石氏は語る。

 

 白石書店は2025年8月からRFIDタグを活用したPubteXによる「 BOOKTRAIL 」の実証実験を始めているが、導入した背景について白石氏は「デジタルの力を活用することで業務改善をしなければ人手不足や万引きの抑制は不可能。本の文化やそれを販売する書店を残すためにもデジタルへの投資は必須」とその必要性について語る。

 

 さらに導入のメリットについて、防犯面や在庫確認などの業務効率化を挙げる一方、今回のキャンペーンのように販売面での貢献度も高いと評価する。「システムをうまく活用できれば過去に購入した書籍を対象とするなど、書店独自のキャンペーンなども実施できるようになる。さらに、地方の書店だからできる企画も可能となり、地元企業や自治体とコラボ企画が実現することができれば、書店が地域のハブとして、さらに地域経済の発展にもつなげられる」と展望を語る。

 

 なお、現在のRFID導入店舗は12月16日時点で書店66店舗。今年度末(2026年3月末)には年度期初に掲げていた目標100店舗を超え、115店舗に達する見込みだ。

 

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