国内最大級 自費出版ライブラリー 滋賀に開設

2025年10月3日

 今年で28回目となる自費出版文化賞の受賞作をはじめ、自費出版の作品約15000冊を所蔵する「自費出版ライブラリー考耕行(こうこうこう)」が10月1日、滋賀県近江八幡市のヴォーリズみらいビレッジ内に開設した。NPO法人自費出版ネットワーク(JSN)と広告事業などを展開するウエスト(近江八幡市・片山幸博社長)の共同事業。

 

 

エトキ=岩根氏(左)と片山氏

 

 来年で設立30周年を迎えるJSNは自費出版を手掛ける出版社、印刷・製本会社、個人ら60以上の会員で構成。過去の作品は年に数回、各地の図書館など期間限定で展示していたが、通常はJSNの岩根順子副代表理事が経営するサンライズ出版(滋賀県彦根市)で保管されていた。

 

 常設できる場を数年にわたり探っていたところに、閉校した小学校の図書室活用の話がもたらされ、ライブラリー開設に至った。蔵書は「地域文化」「個人誌」「小説」「エッセー」「詩歌」「研究・評論」「グラフィック」といったジャンルに分類。現状は貸し出し不可で閲覧のみ。一部、ISBNが付き、著者が販売を希望する作品において来館者はキャッシュレス決済で購入できる。

 

 当面、来館希望者はインスタグラム内の開館日カレンダーから申し込む形で運営をスタートさせるが、将来的には開館時は常時、来館できる仕組みを構築したいとしている。

 


自費出版目指す契機の場に


 JSN・岩根副代表理事は「日の目を見る機会が少ない自費出版作品が一堂に会することで、来館者には出合ったことのない本を見つけてほしい。『私も本を出してみたい』と思う人が少しでも増える契機にしたい。これからも制作の協力、著者の顕彰、そして作品を守り続けていきたい」と話していた。

 

 運営を担うウエスト・片山社長は「私自身、デジタルで本を読んでも自分の中に入ってこない。活字と紙に触れることでしか味わえない体感をしてほしい。近くには全国有数の観光地がある。ライブラリーにも立ち寄っていただき、読書文化の向上に加え、地域の活性化にも寄与したい」とライブラリーを発展させ、長く継続していくとした。

 10月18日には、ライブラリーオープニングイベントとして、「本づくり」をテーマにしたトークセッションを予定している。詳細はこちら

 

自費出版ライブラリー考耕行
□所在地=滋賀県近江八幡市浅井小井町ヴォーリズみらいビレッジ内
□開館時間=10~17時(開館日はインスタグラムで公開)