経済産業省は「書店活性化プラン」で、キャッシュレス決済の導⼊に向けた環境整備を進めるとして、書店への低い手数料率サービスの周知を進める。商務・サービスグループ消費・流通政策課長でキャッシュレス推進室長(取材当時)の平林孝之氏に話を聞いた。
多くの小売店などでキャッシュレス決済が普及する中、書店も対応を求められているが、決済手数料の負担が問題視されてきた。経産省は「書店活性化プラン」の施策に「業界団体を活⽤した低廉な決済⼿数料率の周知」と「キャッシュレス決済の導⼊に向けた環境整備」を盛り込んだ。
クレジットカードの決済手数料については、2022年に経産省と公正取引委員会がカード会社に対して、カード発行会社が加盟店管理会社から受け取る手数料「インターチェンジフィー」の標準料率を公開するよう要請。
同年にVISAやMasterCardなどの国際ブランドが公開した結果、昨年12月ごろから、3%以上だったカードの決済手数料率を見直し、中小事業者に対して0.7%ほど低い料率のプランを提示する事業者が増えた。
平林室長は「新たに導入される書店はもちろん、以前から契約している書店でも適用条件などを満たせばプランを変更できます。書店は利益率が低いと聞いていますので、大きな変更だと思います」と指摘する。
しかし、東京都書店商業組合が24年に組合員を対象に実施した調査では、3%程度の料率の書店が多いことが判明した。
「われわれが問題意識を持っているのは、情報が各書店に届いてないのではないかということです。すでに利用されているサービスでも契約を変えるだけで相当下がってくるので、こういった情報をしっかりと届けたいと考えています」と述べる。
中小企業向けプランの手数料率や月額使用料の有無、適用条件(年間のキャッシュレス決済総額)などは事業者ごとに設定されているが、手数料は2~2.5%程度、適用条件は国際ブランドなどの単位で年間の決済総額が1000万円~3000万円以下に設定されているものが多い。
手数料率の低いプランを利用するためには、「まず自分がどこの事業者と契約をしているのかを確認していただいたうえで、ホームページにアクセスすれば情報が出ていますし、申し込みサイトもあります。また、電話をして『手数料の見直しをしたい』と言っていただければ対応してもらえるはずです」と平林室長は対応方法を説明する。
経産省では、今後、都道府県の書店組合などへの働きかけや、メディアでの情報発信などで、個々の書店への低い手数料率の周知を図る。