朝日新聞出版 『国宝』映画ヒットで累計100万部突破

2025年7月4日

 

 

 朝日新聞出版発行の吉田修一氏『国宝』上・下(朝日文庫)が、李相日監督による映画化作品のヒットに伴い販売数が急伸。7月16日の重版出来分で累計106万部となり、さらに単行本・電子版も加えると115万部に達する見込みだ。

 

 6月6日に映画公開されて以降、完売店が急増。紀伊國屋書店、くまざわ書店、丸善ジュンク堂書店、未来屋書店、三省堂書店をはじめ、全国書店の6月文庫売上で1位を独占している。上下巻の場合、一般的に上巻が先行して売れる傾向にあるが、『国宝』については下巻が上巻の販売冊数比で97%に達している。

 

 同社は 2025年1月から主演の吉沢亮さんを掲載した全帯に巻き替え出荷。さらに5月には主要キャストが入った全帯で出荷しており、2回にわたり全帯で展開を実施したのは同社でも異例だという。全帯を商談材料に、映画公開に向け6カ月間にわたり継続的に書店へアプローチ。店頭での展開を促進し、話題喚起と機運醸成を図ったことも奏功した。

 

 また、今後のプロモーション施策として、100万部突破と各種ランキング1位を併記したパネルを作成。7月上旬から書店に順次発送し、店頭での販促を後押しする。また、関連本として吉田氏の代表作であり、同じく李相日監督がメガホンを取った『悪人』(朝日文庫)についても「国宝大ヒット帯」を作成し、併売促進を図る。またパブリシティとして『AERA』本誌と「AERA DIGITAL」でも記事掲載する予定だ。

 

 『国宝』は、朝日新聞に2017年から18年にかけて連載された作品で、18年9月に単行本化、21年9月に文庫化された。また吉田氏の作家生活20周年の節目を飾る作品で、同氏の代表作『悪人』や『怒り』と並ぶ最高傑作と称され、芸術選奨文部科学大臣賞と中央公論文芸賞のダブル受賞を果たしている。