毎日新聞社が主催する「2024毎日デザイン賞」と「第92回毎日広告デザイン賞」(経済産業省後援)の表彰式が4月18日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で行われた。
毎日デザイン賞は、グラフィックやインテリア、クラフト、ファッション、建築など、あらゆるデザイン活動で、年間を通じて優れた作品を制作、発表し、デザイン界に大きく寄与した個人、グループ、団体を顕彰する賞。24年度の受賞者には、nomena「心が動くエンジニアリング」が選ばれた。

左から毎日デザイン賞を受賞したnomenaの布施木紗和子氏、杉原寛氏、武井氏、樗木浩平氏、藤井樹里氏
nomenaは武井祥平氏によって設立されたエンジニア集団。クリエイターやクライアントとのコラボレーションを通して得られる多領域の知見を動力にして展開するものづくりの取り組みは、さまざまな分野から高く評価されている。24年4~5月に開催された『まだ意味のない機械 ― phenomenal #3』 は、nomena単独では初の展覧会で、エンジニアだからこそ生み出せる発想や新しい価値を前例のない形で提示し、注目を集めた。
nomenaの武井氏は受賞のあいさつで「これまでの13年間の活動において多くの卓越したデザイナーとの協業の機会に恵まれ、そのなかで得た学びが、私たち自身の主体的な創作活動へとつながった」と感謝を述べ、「工学という専門領域に立脚しながらもデザインやアートという表現の分野に情熱的な憧れと関心を抱き、私たちならではの新しい価値を提供できないかと模索してきた。その活動の集大成である展覧会『まだ意味のない機械』に歴史ある賞を授けていただき、心からうれしく思う」と語った。
毎日広告デザイン賞は、広告主からの課題に基づいた作品を一般から募集する「一般公募・広告主課題の部」と、実際に毎日新聞に掲載された広告をエントリーする「広告主参加作品の部」の二部門で構成される。
一般公募・広告主課題の部は、日本公園緑地協会「公園の未来」を課題とした作品『想像と遊ぼう』が最高賞に輝いた。受賞した森岡日菜子氏は「見てくださった方が、自分の原点を少しでも思い出すような作品になれば光栄」、田村波瑠子氏は「『想像と遊ぼう』というコピーは自分に向けた言葉でもある。遊びながら商品の良さや人の気持ちを見つけ、広告クリエイティブに向き合っていきたい」、太田亘九氏は「子どもの頃の公園でのひとり遊びのアイデア。その記憶が今の職業選択につながった。受賞を励みに今後も広告業界で活躍していきたい」と、それぞれ喜びとともに今後への意気込みを口にした。

左から毎日広告デザイン賞一般公募・広告主課題の部最高賞を受賞した太田氏、森岡氏、田村氏
同賞広告主参加作品の部で最高賞に選ばれたのは、東急不動産のいきもの東急不動産「見逃し新聞配信、シジュウカラ営巣REPLAY!」。東急不動産代表取締役社長・星野浩明氏は「街の開発とともに周辺地域の自然との調和を目指し、12年から生物多様性の保全と持続可能な社会の実現に向けて取り組んできた。受賞した作品を機に、自然との共生についてさらに関心が高まることを望む」と晴れ晴れした表情で語った。

毎日広告デザイン賞広告主参加作品の部最高賞を受賞した星野社長