トーハン 小型書店開業支援サービス「HONYAL」で「LLite版」開始 導入書店の事例も発表

2025年5月7日

 トーハンは4月25日、小型書店開業支援サービス「HONYAL(ホンヤル)」で3月から従来より小規模でも利用できる「HONYALLite版」を開始したことと、3月から4月にかけて新規導入した書店10店の概要を発表した。導入店の中にはこれまで営業してきた個人書店が品ぞろえ充実のために利用するケースもみられる。

 

 新プラン「Lite版」は従来よりも少額の月間仕入額5万円~30万円(従来サービスは仕入上限月100万円、下限30万円)の取引から利用可能なサービス。発注ごとに宅配便で届けるが、配送料は店舗負担となり、注文はすべて買い切りとなる。

 

 発表した新規導入店は「カレーenBOOKS」(東京都世田谷区)、「正夢書房」(岡山県岡山市)、「本屋すみれ」(静岡県掛川市)、「エレベーターブックストア」(神奈川県横浜市)、「ブックカフェ・ノーム」(東京都豊島区)、「暮らしの思想」(東京都荒川区)、「こい本」(北海道白糠町)、「WARPHOLEBOOKS(ワープ・ホール・ブックス)」(東京都世田谷区)、「MoMoBooks(モモブックス)」(大阪府大阪市)、「親子で楽しむ本棚ふくみ」(長野県松本市)の10店。

 

 カレーenBOOKSは3月28日、カレー店en内にオープン。小説を中心に販売。子育てや勉強法など保護者向けの本や、小中学生の読書入門向け読み物なども揃える。カレー店の営業開始前にはホールを読書スペースとして提供する。

 

 正夢書房は4月9日、岡山市中心部のアーケード街、表町商店街にオープン。店主の古市大藏氏は岡山を中心に1932年から続く宝飾・高級時計店トミヤコーポレーションの代表取締役会長。各地で進む“書店の減少”に危機感を持ち、表町商店街に自ら書店を開業した。

 

 本屋すみれは4月12日、手作りシューマイのシューマイ幸心店舗と同じ建物の中にオープン。コンセプトは「本とお花のある暮らし」。畳敷きの一室で、ヴィンテージの書棚と店主手作りの書架に本を並べ、本のほか、生花・ドライフラワー・花器も販売。

 

本屋すみれ

 

 エレベーターブックストアは4月13日、太尾南公園(通称エレベーター公園)の向かいにある新聞販売店「読売センター大倉山店」内にオープン。町のニューススタンド的な立地を生かし、新聞書評に載った本の紹介に力を入れる。店主の塩原淳一朗氏は中小企業診断士の資格を持つコンサルタントで、長く出版社に勤めていた。

 

 ブックカフェ・ノームは4月22日、JR目白駅から徒歩5分の立地にオープン。帰宅者のために閉店時刻を22時に設定。小説やコミックス、映像化作品の原作など「物語」を意識した品揃え。店主はカフェの専門学校を修了し本格的なコーヒーを提供するブックカフェを目指す。

 

ブックカフェ・ノーム

 

 暮らしの思想は4月26日、ブックディレクターの中村碧宙氏と華道家の増渕若雨氏が本や花を扱うお店として開業。小台銀座商店街の中ほどにあり、隣は銭湯で、地域の生活動線の中心に位置する。

 

 こい本は4月29日株式会社オカモトが北海道白糠郡の「道の駅しらぬか恋問館(こいといかん)」内にオープン。道の駅の移転・リニューアルを機に書籍売場「こい本」を設けた。オカモトが代表事業所となる「チームSTAMP」が施工・運営・管理を担う施設で、飲食店、地元物産店、サウナやコインランドリー、キャンピングカー用のRVパークも併設。オカモトは24年12月にHONYAL第1号事例「はれっぱえほん館」(北海道南幌町)をオープンしており、道内で2例目の開店となる。

 

 WARPHOLEBOOKSはデザイナーでデザイン事務所を経営する黒川成樹氏が22年6月から営業してきたが、品揃え拡充するためHONYALを導入。「MoMoBooks」も23年から下町の長屋の一室で喫茶コーナーもある書店として営業してきたが、品揃えの拡充を図るためHONYALを導入した。松本城近くの複合商業施設で24年12月から営業してきた「親子で楽しむ本棚ふくみ」も在庫拡充のためにHONYALの利用をスタートした。