
紀伊國屋書店札幌本店フェア棚と志村氏
紀伊國屋書店札幌本店は、4月26日から6月26日までの2カ月間、出版各社の北海道営業担当者らが推薦する時代小説文庫300点を展開するフェア「和を堪能する時代文庫祭り 渾身の300選」を開催している。
KADOKAWA、河出書房新社、幻冬舎、光文社、コスミック出版、徳間書店、集英社、小学館、祥伝社、新潮社、竹書房、中央公論新社、PHP研究所、双葉社、ポプラ社の15社が参加し、各社が推薦した時代小説文庫300点・各5冊・合計1500冊を、それぞれ「歴史・剣豪・食・人情」の4ジャンルに分け、各社の営業担当者によるPOPとともに展開する。
同店では、店頭でのフェアを活性化すべく、出版社が用意したチラシ500枚やポスターなどの拡材、また購入時のレシートに印字されているQRコードから、各書籍の感想を投稿できるフォームも用意。出版各社から著者に声掛けして集めた、今村翔吾氏や澤田瞳子氏など総勢51名64枚のサイン色紙を展示しており、投稿者にはサイン色紙があたるキャンペーンを実施している。

作家陣による個性豊かなサイン色紙を展示する売り場
実店舗での読者参加型フェア
さらに「進化する売り場」をコンセプトに、寄せられた感想を読者の声として店頭に設置した「感想ボード」に随時貼り出すことで売り場をアップデートし、実店舗ならではの読者参加型フェアとして展開する。企画発案者の一人である祥伝社の山下亮販売部長は「プレゼントキャンペーンなど、オンラインでは同様の企画はあるが、書店店頭を通じての参加型の例はあまり見られない。時代小説ファンである中高年層をメインターゲットに、スマホで投稿していただくという試みで、この取り組みが成功すれば、さらに実施店舗を増やしていきたい」と思いを語る。
また拡材や配布用チラシの投稿フォームから、購入者でなくても感想を投稿できる仕組みになっており、北海道地区業務センター長の志村和紀氏は「対象書籍の売り伸ばしもさることながら、書店に来ていただき、ファンと作家、ファン同士が互いの存在を感じられるような企画にしたかった」と意図を語る。さらに週ごとに対象書籍の販売部数を集計し、翌週に週間ベスト10を店頭で告知・展開することで、来店客の興味を喚起する。
今回のフェアは、昨年の秋に北海道日販会に参加した出版社の有志による企画で、志村氏は「人のつながりで、企画することができたフェア。お客様にも投稿を通じて参加いただき、関わる方全員でフェアを完成させることで、一緒に楽しんでもらいたい」と話している。