池田書店 “定番料理書シリーズ”売れ行き好調、第4弾は『材料・仕込み最小限 すぐできる作りおき』

2023年1月25日

『材料・仕込み最小限 すぐできる作りおき』=1430円(税込み)

 

 池田書店は2月15日配本で『材料・仕込み最小限 すぐできる作りおき』を刊行する。初版部数は1万部。同書は2022年に発売し、好評を博している定番料理書シリーズの4作目。過去3作品の累計発行部数は5万7500部と大きな実績をあげている。

 

 編集部の高橋隆太副部長と橋川滋子課長は、編集と営業が手を取り合って立ち上げた料理企画ミーティングで、企画や書籍コンセプトを吟味し、メインターゲットの読者を意識したマーケティングに取り組んだ成果だと語る。


 同社で料理企画ミーティングが始まったのは約3年前、高橋副部長は「料理ジャンルは池田書店が持つ強みの一つ。しかし、編集が一人だけで考えても、良い料理書は出来上がらない。現場を回っている書店営業の意見や市場の声も重要だ。編集と営業が連携し、コンセプトや企画内容を話し合える場として立ち上げた」と述べた。


 コロナ禍で社内コミュニケーションが減少する状況下、部署の垣根を超えた料理企画ミーティングはさまざまな面で良い効果があったという。


 橋川課長は「お互いに意見を出しつつ進めることで企画が強くなり、類書が多いなか、プレッシャーを感じながらも自信をもって編集作業を進められた。双方が企画にかかわったことで、紙面イメージ・販売戦略を共有することができ、モチベーションのアップにもつながった」と話した。

 

編集×営業の取り組み 好調な売れ行きを記録

 

 編集と営業が連携して生まれた定番料理書シリーズは22年5月に2作品を同時刊行した。『「また作って!」と言われる おかわりおかず』が4刷1万8500部、『あと一品がすぐできる!おいしい副菜』が一番の売れ筋で6刷2万6000部と好調な滑り出しを記録した。

 

 その後、11月に発売した『一生使える!味つけ大事典』は2刷1万3000部と好調に売り上げを伸ばしている。

 

書店で平積みされる「定番料理書シリーズ」の3作品

 

 定番料理書シリーズのメインターゲットは、時間がない中で家族に料理を作っている30~40代の女性。表紙はホワイトベースのシンプルなデザインとし、いずれのタイトルも定価1430円(税込)と低めに設定した。

 

 橋川課長は「書店に定番料理書シリーズが並んだ迫力は想像以上だった。社内の連携はもちろん、編集・撮影・デザイン・印刷などの協力スタッフに恵まれたことも成果につながった」 と感謝の気持ちを伝えた。

 

本づくりで“N1マーケティング”

 

 編集面では一人の顧客をモデルとして分析するN1マーケティングを取り入れている。高校1年生の息子がいる40代女性を徹底的に取材し、メインターゲットのニーズとイメージに合った要素を内容に反映させた。


 タイトルについても、取材した女性の目が留まるようなキャッチコピーを意識している。編集者による取材で「高校生の息子はおいしいと口にしてくれない。そういうときは『また作って』『おかわり』と言ってくる」とのエピソードを聞き、1作目のタイトルでキャッチコピーに採用した。


 高橋副部長は「池田書店でN1マーケティングを使った本づくりは初の試みだったが、たくさんの学びを得た。絞られた層にしか当てはまらないと思われそうだが、一点を深掘りすることで、いろいろな読者層に刺さる料理書が生まれた」と自信を深めた。


 同社では定番料理書シリーズ5作目の検討が進められている。テーマは「おやつ・お菓子」、刊行は今年秋の予定。