田中書店 、クラウドファンディングで地域貢献と売上増を図る

2023年1月23日

 宮崎県都城市に3店舗を構える田中書店が、2022年1月にクラウドファンディング等で寄付を募り、発達支援が必要な子どもたちが集まる放課後等デイサービスに本を贈る事業を始めた。地域への社会貢献に加え、書店にとって一定数の売上を確保する施策として、企画発案者で活動を続ける、同社・店舗統括マネージャーの田中佑輝氏に話を聞いた。

田中氏の写真を掲載したクラファンサイトのメイン画像

寄付金を原資に自社で書籍を購入

 

 田中書店は、クラウドファンディングや同社店舗の店頭などで広く寄付を募り、書籍購入と著者講演会の参加権のセットや、児童から御礼メッセージが届く権利などを寄付者へのリターンとして提供。その寄付金を原資に、施設側から要望のあった書籍を自社で購入し、子どもたちにプレゼントしている。

 当初はクラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を活用していたが、現在はECプラットフォーム「BASE」上に田中書店のショップを開設し、『ミライの武器』(サンクチュアリ出版)とのセットで、著者・吉藤オリィさんによるWEB講演会(1月28日開催)への参加権や、アーカイブ動画を視聴できる権利などを販売中だ。

 

現在、販売している吉藤オリィ氏の新刊とWEB講演会参加権セット

付加価値提供で顧客単価増を図る

 

 田中氏は同事業について「施設側や子どもたちに喜んでもらえることはもちろん、支援者にとっては著者イベントへの参加など、新しい価値を享受できる。一方、書店にとっても、寄付という形態で間接的ではあるものの、一定の売上を確保でき、“三方よし”を実現できる」としたうえで、「1冊の本に新たな価値を付加し、同じお客様に複数冊買ってもらうなど、顧客単価を上げていかなければいけない」と、同事業が売上増と地域貢献を同時に実現できるモデルであることを強調する。

 運営に当たっては、イベント企画や著者事務所とのやり取り、ECサイトの運営など、ほぼ田中氏一人が担当しているものの、「日常業務に支障が出るほどの負荷はない」という。

施設で実施した本の贈呈式

 

自社版のブックサンタ事業に

 

 今後の展望について田中氏は「読書の機会を創出し、未来を担う子どもたちを支えているという実感がある。自社版のブックサンタ事業として、こどもの日、クリスマスに実施していきたい」と抱負を語る。

 今年で創業130年を迎える田中書店が始めた新規事業。1年を経て、田中氏は放課後等デイサービスだけではなく、いじめや貧困が理由で学校に行けない子どもたちが集まる施設に対し、文具や学参、辞書などを贈呈する取り組みも開始する予定だ。